紅の赤
青階透
鬼殺し編 プロローグ編
第0話 記憶の断片
頭が痛い。
さっきの衝撃でタンスに頭をぶつけたのかもしれない。それにそのせいで記憶が朦朧としている。
少し頭を少し冷やしたいと思い洗面所に向かうことにした。
「ちくしょう。何でこんなことに」
思い返せば、突然のことだ。数分前にこの船が突然大きな揺れに襲われたのだ。
両親は外の様子を見に行くと言ってこの客室から出て行ったんだっけ?よく覚えてない。
俺は片手で頭を押さえて、もう片方の手で壁を伝いながらあるいた。
部屋を出て船医室を目指してもいいかもしれないが、さっき流れたアナウンスでこの船が何者かに襲撃されたと言っていたので、もし見つかれば危険かもしれない。
洗面所に入り、蛇口を軽く捻って水を出しタオルを濡らした。
洗面台に備わる鏡を見ながら、痛みを感じる場所にあてた。
鏡には平均的な顔つきで、髪は校則を破らない程度に遊んでいる。髪は染めていないので黒髪のままで、瞳も同様に黒い。
洗面所を出ると不意に客室のドアノブがひねられた。
「・・・・・」
身長がおおよそ二メートル以上あろうとも思われる長身の男が無言で入ってきた。
人間離れした背丈も気になるが、それよりもだ。その仏頂面の額に、
ドリル状の角が対となって生えていた。
「つ、角」
俺はつい呟いてしまった。
「・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉に対するアンサーも聞かない内に俺は意識を失った。
記憶はここで途絶えている。
**********************
事件から3日後。新聞やテレビであるニュースが載った。
『客船失踪事件。行方不明の乗客一名を保護』
保護された少年は事件の詳細を記憶しておらず、この事件の真相は今だ分からないはずだった。
もう一人の生存者が見つかるまでは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます