第9話
翌朝ギルドの前で待ち合わせたダンとデイブ、最終の荷物確認をしてから街を出てダンジョンに向かう。
「とりあえず入ってから3層まではランクDのフロアだ。ただし3層になると複数体固まっている。そして4層からランクCのフロアになる。ここは単体で出てくる。とりあえず4層でスキルを上げながらフロアの攻略を目指していきたい。4層、5層とランクCの単体で6層になるとランクCが複数体出てくる」
道を歩きながらデイブが説明する。
「となるとまず4層だな。ここを安全にクリアできれば5層も問題ないだろう」
「その通りだ。まぁ焦らず行こうぜ」
4層をクリアすることを目標にして街道を歩いて1時間弱でダンジョンの入り口に着いた二人。そこは石で積まれたゲートがありその奥がダンジョンになっているらしい。入り口の近くにはギルド職員が詰めている詰所がありそこに立ち寄ってギルドカードを見せると職員が
「OKだ。ランクCだから無理するなよ」
礼を言ってゲートを潜るとすぐに階段になっていた。その階段を降りたところに石板がある。そこにギルドカードをかざす二人。これでカードに攻略階が記録され次からは攻略している任意のフロアに飛ぶことができる様になっている。そのからくりは不明だがそもそもダンジョン自体が謎だらけで解明されていない事が多い。
1層に降りた二人。まずデイブが二人に強化魔法を掛ける。そうしてダンを先にして石畳の通路を歩き出した。しばらく進んでいくと奥からゴブリンが寄生をあげて襲ってくる。その動きを交わしながらダンが片手剣を横に振るとゴブリンの首が跳ね飛ばされてその場で倒れ込む。
そうして見ているとゴブリンの姿がゆっくりと消えていった。ダンと同じ様に消えていくゴブリンを見ていたデイブが、
「始まりのダンジョンと同じく倒すとしばらくして消えていく。そしてどこのダンジョンの魔獣も魔石は持っていない」
「本当に謎だらけだな」
「その通り。でも中で敵を討伐するとそれはカードに記録されているからな」
「わかった」
そう言って再び通路を進んでいく二人。1層、2層とランクDが単体で出てくるので危なげなく倒して進んでいって3層に降りて行った。その階段の途中にある石板にカードをかざして記録すると一旦休憩を取る。
背中のリュックから水と軽食を取り出して口に運びながら
「疲れてるかい?」
「どうだろう。気が張ってるせいかもしれないが疲れは感じないんだよ」
ダンが答えると俺もなんだよ。とりあえず3層をクリアしたら一旦地上に出てみるかという話になる。時間の経過の感覚も掴みたいというデイブの言葉にそうしようとダン。
事前の情報通りで3層に降りるとランクDの魔獣が複数固まっていて二人を見ると襲いかかってくる。相手が2体の時はお互いに1体を相手にして討伐していく。3体の時にはダンとデイブの魔法で1体を倒してから残りをそれぞれが担当するという分担で問題なくフロアを攻略していた。
デイブは元々魔力が高めなので剣よりも魔法の威力が高くダンはその逆だ。とは言っても二人ともしっかりと鍛錬をしていたのに加えて剣と防具の助けもあり、互いに魔法、剣の威力そのものが普通のランクCの冒険者よりは既に上のレベルにあった。
そうしてトラブルもなく3層をクリアした二人は4層に降りる階段にある石板にカードをかざして一旦地上に戻ってきた。
地上に出ると日は西に傾いてはいたが夕刻には少し早い時間帯だった。
「ダンジョンにいたのは6、7時間ってとこか」
「そんな感じだな。昼頃かと思ってたよ」
「ダンもそう思ってのかい?俺もなんだよ。こうしてみるとやっぱり時間が経つのが想像以上に早いな」
「つまり疲れてるってことだ」
そうして二人はそのまま一旦ヴェルスの街に戻って宿に戻るとそこの食堂で打ち合わせをする。
「正直今日の感覚だと4層、5層はいけるんじゃないかって気がしてる」
「ランクCのフロアだよな。フィールドでも倒してるしいけるんじゃないか?」
デイブの言葉にダンがそう答えるとそうなんだよなと言ってから
「なので明日で4層、5層と攻略しよう。そして疲れてなければ6層の階段を降りたあたりでキャンプして近くにいる複数体のランクCを倒してみるってのはどうだ?」
デイブの提案で行こうということになった。ダンもランクDが相手だと全く脅威に感じなかったしデイブも同じ感覚だった様だ。
そうして翌日に再び街からダンジョンに出向いて1日で4層、5層をクリアする。休息日を挟んだあと6層に降りて階段をキャンプにしてそこで遭遇するランクCの複数体も問題なく討伐した二人はその翌日1日をかけて6層を攻略する。7層になるとランクCの複数体の数が多くなりまた一部の魔獣は魔法を使ったり弓などの遠隔武器を使用してきた。この7層ではクリアに3日を使ったがそれでも途中危ない場面もなくクリアをして8層に降りたところでその日の攻略を終えた。
「いよいよ8層からランクBだ。8層は単体で、9層は複数体で出てくる」
「これからが本番じゃないの。たっぷりとスキル上げができそうだよな」
常宿の食堂でそんな話をするダンとデイブ。
「今までは順調だったけどこれからはそう簡単には行かないだろう。俺達のランクより上の魔獣が相手だからな」
ビールを口に運んでグイッと飲んだグラスをテーブルに置いたデイブが言う。同じ様にビールを飲んでいるダンもグラスを手に持ったまま頷き、
「その通りだ。魔法の通りも悪くなるだろうし剣も今までの様に一振りで倒せないかもしれない。慎重に攻略した方がいいな」
二人とも自分たちの実力をしっかりと把握している。周りのランクCの連中は大抵5、6名でパーティを組んでいてもう少し難易度の高いダンジョンに挑戦しているがダンとデイブは周囲の同ランクの動向については全く気にしていなかった。
防具屋のレミーが言っていた競争じゃないという言葉を忠実に守っている。
当人たちは全く気がついていなかったが二人の実力は個人レベルではすでに同じランクの冒険者を凌駕していた。武器についても魔法についても二人でフィールドで同ランクの魔獣を相手に戦闘を重ねているうちに当人が気が付かないがスキルが上達していたのだ。
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