短編集 pt.1
瑞葉
第1話 ヒトノイタミ
「殴られたら痛い。大人なのにそんなことも分からないの?じゃあ刺されてみたら?」
真紅の華が咲いた中、1人の少年がそう呟いた。
少年は理解することが出来なかった。何故大人達は何故教育という名目で暴力を振るうことが出来るのか。何故大人達は子供という理由で無闇矢鱈と管理下に置こうとするのか。
「大人になるって人の痛みが分からなくなるってことなのかな?」
それじゃあ僕が大人達に教えなきゃ。僕の力じゃ殴ったところで痛くない。それでも大人達に暴力を振るわれたら痛いことを教えないといけない。仕方ない、気は進まないけど道具を使うか。今までどれだけの子供たちが大人の自分勝手な理不尽に苦しめられてきたか。僕達は都合のいい道具じゃないのに。
「たまには痛い目を見たら少しは分かるんじゃないかな?」
明日学校で分からせてやる。
~~~翌日~~~
「おい。話せばわかる。落ち着け。その物騒なものを仕舞ってくれ。」
「話せばわかる?何言ってるのさ。アナタ達大人はこちらの話なんて一切聴かずにすぐに暴力を振るう癖に自分に向けられた時だけそんなこと言うの?都合よくない?」
「分かった。二度と暴力なんて振るわないしちゃんと話しもする。」
「もういいよ、貴方みたいな人はきっと痛い目を見ないと分からないから。」
今までもそうだったじゃないか。きっと変わることは無理なのだろう。
~~~~~~
『~♪今日のニュースです。本日朝10時頃に○○市にある△□小学校で教師が生徒に包丁のようなもので刺され、志望しました。又、小学四年生の少年Aが殺人の罪で現行犯逮捕されました。調べに対し、少年は
「大人は暴力を振るわれたら痛い。それを大人に知って欲しかった。」
と供述したとのことです。続いてのニュースは…』
~~~~~~
「やはり子供は痛みでしつけた方が良いに決まっている!」
「だからこのような事件が起きたのではないか!」
「ならばそんな気も起きないぐらいにしつければいいじゃないか!」
「そんなものただの暴力による恐怖政治と変わらない!」
この事件を期に教育的指導として暴力を使うことの是非が問われ国中で論争を巻き起こした。そして人の痛みを分かることの大切さを改めて考える機会として十数年後教科書に乗ることになったのであった。
~~~~~~A few years later~~~~~~
主文、被告人を無罪とする。又、被告人は心身を深く喪失しているため病院にて治療を受けることとする。
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