十月三十四日:投票

【投票結果の結果、本日の処刑は『図書委員』に決定しました】



『図書委員』は隣の席の『文芸部』にだけ聞こえる声で囁いた。

「こんなことならお前を人狼だと言っておくんだったな」

「友だちなら投票されないって思ってたのかよ」

 違う、と首を振る。

「処刑で死ぬ方が人狼に噛まれるよりずっと楽だからだ。昨日そうしておけばよかった」


『図書委員』が倒れ、一冊の本が床に落ちた。

「アイツに本貸してたの忘れてた」

『文芸部』はそれを拾って、遠巻きに見ていた『編入生』に笑いかけた。


「あいつさあ、ガキの頃はもっと暗くい奴だったんだ。友だちもいないからっておれにくっついて回って。しょうがないから本貸してやったら、そこから感想とか言ってくるようになってさ。普段喋らないくせになかなかいいこと言うんだよ。それから少しずつ他の奴とも口聞くようになって。おれが留年したら『俺が入学するまで待ってくれたのか』なんて皮肉言うくらいになっちまった」


『文芸部』が折れた表紙を掲げる。

「ミステリホラー特集、信用できない語り手、だってさ」


『編入生』は何も言えず俯いた。




 生存者:八人


 占い結果:(○→人間、×→人狼)

『映研部』→『図書委員』○、『元バスケ部』○、『生物部』○

『図書委員』→『文芸部』○、『剣道部』×、『風紀委員』○

『生物部』→『文芸部』○、『剣道部』○


 霊能者結果:

『美術部』→『吹奏楽部』○、『剣道部』○


 処刑投票結果:

『吹奏楽部』、『剣道部』、『図書委員』

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