結婚が破談になりましたので、いただいたご祝儀を返しまくります

卑屈な社会人

第1話 また一番を手に入れられなかった男

 『浮気』・・・・特定のパートナーがいながら他の異性に関心を移すこと。


 これは日々生きているとテレビやネットニュースなど様々なメディアから耳にタコができるぐらいに聞こえてくる言葉だが、まさか自分がその当事者になるなんて思ってもいなかった。

 

 それもこんなあと2週間ほどで籍を入れようとしていたこの時期に......


 普通こんなことがありえるのだろうか?

 まぁ、ありえるのか。これはまぎれもない現実だ。

 ただ、結婚を急かしてきていたのはあっちの方だろう?


 でも信じたくはないがあんな場面を見てしまえば認めざるを得ない。

 あれが浮気でなければ世の中の浮気の定義なんてものは崩壊してしまう。

 泣いて謝られたけれど、どう考えても泣きたかったのはこっちだ。


 まあ、今さらどうこう言ったところで何かが変わるかと言われれば確実に何も変わらないのだがな。

 

 はぁ、それにしても、もうどうしようもないことだとはわかっているけれど


 気が付けば俺はまたを手に入れられなかったのか.......。


 一応、心はそれなりにもう落ち着いたが


 思い返してみても、

 高校、大学、そして今の会社。人生の節目の全てにおいて俺は一番欲しかったものをことごとく取り逃してきた。結果的には全て、2目に縁があったところに進学や就職をしている始末。

 トラブルがあったり他にも色々と理由もあったりするのだが全ては自分の自己責任。例えその過程で人を助けることができていたとしてもだ。他にも色々と方法があったわけで。結局は自分のせいでしかない。


 そして今回はあろうことか人生で初めて好きになって、一生をかけてこの人に尽くしていこうと考えていた相手に裏切られ結婚が破断になったところ。


 結局、俺はまた一番を手に入れられなかったと言うことだ......。人生でを失ってしまった。


 まぁ、これも一生をかけて尽くしていくと言いながら浮気を許せなかった俺の器の小ささが悪かったのだろうか? それとも自分なりには頑張ってきたつもりでも、やはり負担を色々とかけてしまっていたのだろか。

 もう何もわからないけれども、残念ながら俺はあんな場面を見せられて許せるほど人間ができていなかったみたいだ......。


 でも、高2の頃からだから彼女とはもう10年も付き合っていたのか。

 いつから浮気をされていたのかはわからないけど、終わりはあっけなかったな。

 本当に.......


 そしてまた明日からは仕事か。


 はぁ、人生で一番恥ずかしいかもしれない。 


 会社の人たちから既にもらっている祝儀どんな顔して返していけばいいんだよ。


 こんなの笑いもの確定だろ。特に同期のあの女には笑われてしまうのは間違いない。特に最近は営業成績も1位になったとかで俺にかなりのうざ絡みをしてきていたしな。


 いや、笑ってくれればまだいい方か。


 とりあえず、ため息しかでない。


 俺も、もう27か。 まだ時間はそれなりにあるのかもしれないが

 もういいかな。

 こんな思いをするぐらいなら、一生ひとりで生きていった方がまだましだと思ってしまう。


 そしてこんな時にまた誰からだ。


 『修平はいいよねー、会社はホワイトっぽいし。もう結婚でしょ? ほんと爆発してよ。私は今日も残業でーす』


 はぁ、美桜みおか。

 このタイミングで、こいつはまた俺の傷口に塩を塗る様なLineを。いっつもどうでもいいようなLineばっかり送ってきやがって。


 とりあえず、彼女は大学時代のサークル仲間。

 まあ、確かに会社に関しては彼女の言う通りかもしれないが、そもそも俺が一番行きたかった会社にすんなりと就職できたお前が一体何をいっているのだと言う話だ。 

 それにミスコンで1位になってしまうあいつほどの女なら結婚だっていつでもできるだろう。とにかく、俺とは正反対にであろう彼女が本当に何を言っているんだという話だ。特に今は嫌みにしか聞こない。


 あぁ、そう言えばこいつからもお祝いもらってたっけ。


 めんどくさいが返さないとな。

 とりあえず


 『いや、結婚なくなった。色々あって別れた。笑えよ』


 返信っと......

 

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