「血の家」

第20話

「(いない....！)」

安永の家の玄関から、先程自分達がいた

応接室の窓から見えていた庭に向かって

征四郎が駆けて行くが....

「(確かに――――....)」

そこには、先程応接室から

見えていた

"サングラスとマスクをした男"

の姿が忽然(こつぜん)と姿を消している

「せ、征四郎くん！」

「・・・どうしたんだ！？」

善波　総司そしてジャンが

征四郎の元まで駆けつけてくる

「な、何かあったのか？」

「・・・・」

総司の言葉を無視して、

少し先の林に目を向けるが、そこには

ただ木が生えているだけで特に何かある訳でもない

「・・・・」

"ザッ"

「お、おい！」

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

「―――サングラスの男？」

「―――ええ。」

再び、応接室に戻った三人はソファに座り

今起きた事を考えるため、一人だけ反対側の

ソファに座っている征四郎に目を向ける

「そいつが、そこの、

　窓の外に立ってたってのか？」

「―――間違いなく」

「・・・・」

人差し指で、総司が目の脇をかく

「こんな所に、人がいるとは思えんが――――」

「確かに見たのか？」

「・・・・」

最初は自分の勘違いかも知れないと思ったが、

確かに、窓の外に"男"は立っていた

「ここ、山の上だから、あまり

　人きたりできないでしょ？

　気のセイじゃない？　セイシロウ？」

「・・・・」

始めは、ジャンかとも思ったが

部屋の中でその姿を探すと

確かにジャンはあの時、部屋の中にいた――――

「(そうなると....)」

「ちょっと待てよ？」

考え込んだ様な様子を見せていた善波が声を上げる

「昨日、俺たちは、サングラスの男と

　来宮の家ですれ違ったよな？」

「―――ええ。」

「・・・・？」

何の事を話しているのか分からないのか、

総司はただ、三人の話を聞いている

「そして、俺たちはそのサングラスの男を....！」

総司の隣に座っているジャンの方を、善波が見る

「そこにいる、ジャンだと思っていた。

　だが、ジャンは、さっきまで俺達と一緒に

　この部屋の中にいた.....！」

「・・・何をハナしてるの」

「つまり、あいつは

　ジャンとは別の男って事だ.....！」

「――――――」

「―――――」

「――――――」