ハロウィンと恋の前進 Happy Halloween!!
郷野すみれ
第1話
今日は十月三十一日、ハロウィンの日だ。今までお店とかハロウィン仕様だったな、とか思いながら特に意識もせずにいつも通りに英語のラウンジで、名簿に日付と名前を書く。
「こんにちは」
「莉音、ちょうどいいところに来たわね」
にっこりとイイ笑顔で英語のラウンジに常駐しているネイティブの先生に言われて嫌な予感がする。机の上、先生の前に置かれている小物達と、ボーダーのとんがり帽子をかぶらされている男子達を見て予感が的中したことを確信する。
「あ、用事を思い出したので、帰ります」
棒読みだがまあいいか。
「ちょっと、待ちなさい!」
先生の声を無視して踵を返して帰ろうとしたら、ちょうど入り口で知り合いの男の先輩であるハルさんと鉢合わせをした。
「ハル! 莉音を捕まえて!」
いや、物騒な。お互い固まる。
「何があったんですか?」
ハルさんが少し眉をひそめて問う。
「これを、莉音につけてもらおうと思ったら、すぐに帰ろうとするんだもの」
呆れたようにため息をつくハルさん。
「それはそうですよ」
「えー、なんで?」
先生が不満そうな声をあげる。
ハルさんは真剣な顔をして私と目を合わせた。
「諦めるしかない」
「え⁈ ちょっと待ってください!」
「毎年のことだから」
軽く肩を押されて、私は不機嫌さを隠そうともせずに机へ向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます