#13アオハル

僕は今”青春”を感じている。

”青春”とは学生時代に大切な友人と何気ない談話を楽しんだり、スポーツや勉学に励んだり、恋愛をしたりする事に例えられたりする。

それは学生だけに限らず、社会に出てからも友人や恋人と楽しい時間を共有した場合にも用いられたりする事もあるそうだ。これを別名”アオハル”とも呼ばれてる。



そして今、その”アオハル”とやらを僕は感じている。



そよ風に靡く金色の髪、そして太陽をも嫉妬させる純白の白い肌に宝石のように輝くオッドアイの瞳の美少女。

そんな美少女を僕は自転車の後ろに乗せて、この広大な大地を自転車で駆け抜けているというわけだ。これを”アオハル”と言わないでなんと言う?



「青春だな〜」


「セイシュン?」



おっと思わず心の声が漏れてしまったようだ。



「ハルト様、セイシュンって何ですか?」


「青春っていうのは…楽しい時間を共有出来てるって事かな〜」



考えてみればこんな時間を過ごしたのっていつ以来だろう…。

じーちゃんとばーちゃんが亡くなってから、誰かとこんな時間を過ごす事なんて無かったもんな。こうやって何気ない時間を誰かと共有するのも悪くない。むしろ忘れかけてた何かを思い出させてくれる。マーガレットには感謝だ。



「そうですね、私もこうやって誰かとこんな風に過ごすのは久しぶりです。なので私もハルト様と過ごせているこの瞬間がとても楽しいです!」


「ありがとう、マーガレット。」


「いえ、私の方こそ。」





それからしばらく進むと何やら村のような場所が見えて来た。



「マーガレットあの村みたいな場所は?」


「あの村は確かノルズ村ですね、小さな村ですけど農業や家畜業に長けている村です。この村で栽培しているリゴスの実で作る甘味水はとても美味なのですよ!!」



リゴスの味に甘味水…。

もしや元の世界で言うところの”リンゴ”と”ジュース”の事だろうか?

それにこの世界に来てからまともな食事をしていない…。記念すべき最初の村、”ノルズ村”にて今夜はお世話になるとしよう。



「日も落ちて来た事だし、今夜はノルズ村に泊まろう!」


「かしこまりましたハルト様!久々の甘味水に向けて全速力で向かいましょう!!」



記念すべき最初の村”ノルズ村”に向けて、僕は全速力で自転車を走らせたのだった。

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