ホスト通いの末に推しの運転する車に轢かれた桃子は、目覚めると江戸時代へタイムスリップしていた。徳川家の大奥を築き上げた女傑・春日局に拾われた桃子は、徳川家康の孫・竹千代(家光)を三代目将軍にするべく江戸時代でも推し活を始める。
病弱で内気な竹千代は、武家の惣領としては頼りない儚げな美少年ですが、相手に尽くすことに喜びを見出す桃子の好みにクリティカルヒット。ホスト通いで人生を狂わせた桃子の情熱が再び燃え上がる。
現代人の感覚でも自由奔放で破天荒な桃子は、大奥に奉公する生真面目な武家の娘たちに異質な存在として映ってしまう。しかし空気を読まず暴走する桃子の情熱が、いつの間にか周囲に伝播し竹千代を支持するムーブメントを巻き起こす。なりふり構わぬ桃子のアクの強さと勢いに引き込まれます。
元服して将軍家光となってからも不安定な幕府の政治を縁の下から支え、やがて日ノ本に天下泰平の世をもたらしていく。一人の女性の推し活が歴史を作り上げていく一風変わった歴史大河ドラマです。
(「私の推し活」4選/文=愛咲 優詩)