第17話

これは。

放課後になって、

彼女が俺に話してくれたこと。


ちょうどこの日は。

南西からの強い風と雨で。

屋上なんかにいたら、

屋根なんて屋上にはないから。

びっしょになってしまう日。


藤島くんが、昼休みに。

俺が知らないうちに屋上に駆け上がったら

彼女がいたんだけど。


びしょ濡れになってたみたいで。


「お、おい、こんなとこにいたら

風邪ひいちまうぞ...!!」


「...そうね」


「俺と一緒に校内に戻ろ?」


「イヤよ。私は山吹くんを待ってるの」


「何回も手紙無視されて、ついに、

今日は雨降り」


「今日のわたしの手紙の文面はさ。

屋上で来るまでずっと待ってるから、なんだからね」


「あいつは、そんなこと知らねぇよ。

何しろ、手紙は俺の下駄箱にあったんだから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る