湯屋「憩い湯」奇談
さち
いろいろなお客さまがいらっしゃる湯屋でございます
ここは町外れの森の中にある湯屋「憩い湯」でございます。今は銭湯と言うほうが馴染みがあるかもしれませんね。私はこの湯屋の主で伊織と申します。ちなみに性別は男、年齢は24です。
この湯屋にはさまざまなお客さまがいらっしゃいます。まずは普通の人間。そして少し変わった人間。人間だったもの。人間ではないもの。妖。神。実に多種多様です。
なぜそんなにさまざまなお客さまがくるのかといいますと、私の家系は昔々は陰陽師をしていたそうです。しかも人間ではないものと交わったことがあるらしく、人間としては少々特殊な力を持ちます。
戦国の世が過ぎると陰陽師などという職業はあまり儲からなくなり、食うに困ったご先祖が基本来るもの拒まずな湯屋を始めたのが憩い湯の始まりです。幸い現代になっても日々さまざまなお客さまがいらしてくださり、しばらくは倒産など心配しなくてもよさそうです。
この湯屋「憩い湯」は基本的に日帰りですが、お泊まりも可能です。中には湯治にいらっしゃる方もいます。なので建物は和風建築ですが楼閣のようで大きいのです。それぞれいらっしゃるお客さまに合わせて壱号館から参号館までございます。現代に似つかわしくないこの建物も非日常的だと人間のお客さまには人気です。
そんなさまざまなお客さまがいらっしゃる場所ですので、働いているものもさまざまな者がいます。人間や妖が多いですが、狐や狸といったものもおります。かくいう私のパートナーも玉城という九尾の狐でございます。湯屋の経営もサポートしてくれる非常に優秀な男です。
さて、そろそろお客さまたちがいらっしゃる時間ですね。今日も忙しくなりそうです。
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