可愛すぎる男子とイケメンすぎる女子のラブコメ

神村岳瑠

入学式

出会い

 とてもカッコいい人だ。

 僕との目があった瞬間にそう思った。

 多分、年はそんなに変わらないと思う。

 雰囲気的に。

 でも、ちょっとやそっとのレベルじゃないくらいにはイケメンだ。

 アイドルになれば天下を余裕で取ってしまいそうなほど。

 流石に、イケメンがすぎる。

 顔のパーツ全てが、神様が「これがワシの最高傑作じゃ」 と言っているように思えるほど整っている。

 キリッとした目つきに綺麗なまつ毛。

 鼻も高いし、唇も薄い。

 肌も綺麗だし、眉毛も整っている。

 そんな、僕と目があったままの彼を見て思う。

 こんな風に僕もなりたかったと。

 いや分かっている。

 僕の見た目からしてこんなカッコよく、男らしくなれないことは分かっている。

 だからこそ、憧れてしまう。

 手に入らないから、叶わぬ望みだから。

 憧れるくらいは許して欲しい。

 まあ、憧れるにしてはちょっとレベルが高すぎる気もするけど。

 そんな事を思っている時だった。

 もう何分間、目を合わせていただろうか。

 心なしか彼も緊張しているように見える。


 「名前……」


 「……え?」


 急にボソッと呟かれた声。


 「名前を教えて」


 その声からは緊張が伝わってくる。

 僕はその言葉を理解するのに、少し時間が掛かったが。


 「一ノ瀬涼いちのせりょうだよ」


 自分の名前を教えるのに、なんなの躊躇いもなかった。


 * * * *



 とても可愛い人だ。

 私との目があった瞬間にそう思った。

 年は私よりちょっと下に見える。

 雰囲気的に。

 でも、他の女の子とはちょっとレベルが違うくらいには可愛い。

 アイドルのオーディションとかに行ったら、他の参加者みんな自信無くしちゃいそうなほどに。

 流石に可愛いすぎる。

 サラサラとした銀色のショートカットはとても綺麗で、ぱっちりとした二重に長いまつ毛。

 肌めっちゃ綺麗だし、ほっぺた柔らかそう。

 可愛い。

 めっちゃ可愛い。

 顔のパーツ全てが可愛さに全振りされてる。

 タイプでいったら妹系と言うべきか。

 私とは真逆。

 だからこそ憧れてしまう。

 こんな可愛くなりたかったと。

 私が可愛くなるなんて無理な事だと、もう諦めた事だけど。

 憧れることくらいは許して欲しい。

 そんなことを思ってるうちに、私はこの少女に興味がわいた。

 もとい、友達になりたいと思った。

 憧れの人と知り合いになりたいというのは、誰しもそうだと思う。

 


 「……名前」


 気づいた時にはもう声に出ていた。


 「……え?」


 「名前を教えて」


 心臓がバクバクと跳ね上がる。

 緊張している。

 なんで緊張しているのかと聞かれても、明確な答えを出せない曖昧なものだけど。

 この緊張は、嫌な緊張ではないことだけは分かる。

 武者振るいと言う言葉に近いかもしれない。

 そんな緊張を感じてる時、少女は私の唐突な言葉に一瞬驚いた様子を見せるも。


 「一ノ瀬涼だよ」


 なんの迷いもなく、名前を教えてくれた。

 私の想像よりも、声は少し低かったが。

 いやまあ、低いといっても、私の想像してた声が高すぎたから低く聞こえただけであって。

 合唱コンクールなら、ソプラノかアルトどっちに入れるか迷う感じの声をしている。

 私ならアルトに入れる。

 

 「それで、君の名前は」


 頭の中で声について分析する私を見て少女、一ノ瀬涼が言う。

 私としたことが、名乗るのを忘れていた。


 「ああごめん」


 と一言添えて。


 「橘春樹たちばなはるき。それが私の名前」


 これが私達の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

  

 

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