不自由な能力 001

あの後、自分に霊が取り憑いた経緯について紺輩に話し、別れた。


次の日。


女子に勉強を教える約束ができて、とても気分良く授業を受けていた。こういうイベントこそ素晴らしい学校行事といえる。

そのままずっと舞い上がっているといつの間にか昼休みになっていた。

午前中にテンションが上がっていたので急に眠気に襲われる。

一旦仮眠を取ろうとしていた時、


「お久しぶりです……」


いつのまにか藍宮が僕の机の前に立っていた。


「今日は放課後話すことってできますか?」

「いいよ」

「なら、校舎裏に来てください……待ってます……」


藍宮はお辞儀をし、席に戻っていった。

やはりこれは告白ではないのか!?

ここ最近人との関わりが増えて嬉しい。それと共に霊との関わりも増えているが………



放課後、言われた通り校舎裏へ行ったが、約束した場所には誰もいない。


「はぁはぁ……遅れてすみません」


急いで来た様子で藍宮は膝に手を当てていた。


「大丈夫か?」

「軽い喘息なので、すぐ落ち着きます」


空気を吸い息を整える藍宮。


「前から話したかったことがあって……」


ゴクリッ………!


「私……超能力が使えるんですよ」

「えっ……超能力?」

「そうです。いつからか使えるようになっていて」


超能力だと?

普通は信じないような発言だが、この子がそう言っているなら本当なのだろう。

冗談を言うような子では無いだろうし。

実際、僕の目の前ではよく非日常的なことが起こっているとなると超能力の一つや二つあってもおかしくはない。


「どんな能力が使えるんだ?」

「念動力とテレパシーと霊視が使えます」

「霊が見えるのか?」

「はっきりとじゃないんですけど……」


霊視が使えるとなると、僕に取り憑いている猫神が見えているのでは。


『安心せよ』


いきなり猫神が喋り出した。


『我ぐらいの霊になると霊力は見えないよう抑えておる。そんな小娘の霊視ごときで見えるわけなかろう』

「本当か?」と小声で聞く。

『心配性じゃな。ならもう1段階抑えといてやるわ』

「誰と話してるんですか?」


藍宮に不思議そうな顔で聞かれる。

ここは猫神の力量に任せよう。


「独り言だよ。それでなぜ僕を呼んだんだ?何か理由があるんだろう?」

「実は……能力を自分の意思で使えないんです」

「つまり勝手に能力が発動してしまうことがあるということか?」

「はい……。それも何故起こるのかまだ分からなくて……」


制御できないのは非常に危険だ。

念動力が彼女の意思ではなく、違う条件で使用してしまえば、彼女だけでなく周りの人に被害が及ぶことだってあるかもしれない。

それは絶対避けなければならない。


「今度学校じゃなくて周りに人がいないところで能力を見せてくれないか?実際に見ないと発動条件が分からない」

「わかりました」

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