迷探偵朝倉 - Detective A S A K U R A -

@Sakamoto9

第1話 俺がASAKURA

 俺の名前は朝倉雄介、ジュク(新宿)で最もクールでダンディでハードボイルドな凄腕私立探偵だ。

【作者注:自称、ね・・】


 今もクライアントからの急な依頼でハマ(横浜)へ向かって、俺の愛車、紅い稲妻でぶっ飛ばしてるところだ。

ハマまではダチ(友達)の黄色い悪魔、ランボルギーニ・ディアブロと何回勝負しても俺の紅い稲妻の圧勝で連勝中。ちょうど今、多摩川を全速全開で渡り切って東京を離れたところさ。


俺の愛車、アルミニウム合金製のボディー、超絶な加速性能、他を寄せ付けないトップスピード、そしてVVVFインバータのドレミファ音、紅い稲妻、快特、京急2100系。特にお気に居りなのは補助席、運よく座れたら一日ハッピーになれるのさ。


なによりヤツの黄色い悪魔は2人しか乗れないが、紅い稲妻は12両編成だから超いっぱい乗れるのさ。コスパの格が違うんだな。

【作者注:コスパ比較必要? 愛車っていうか、電車、だよね・・】


 横浜そごうのカフェ。クライアントはまだ来ていない。俺はここのカフェのフレッシュオレンジジュースが一押しなんだ。

【コーヒーの倍以上の値段なんで今まで一度しか注文したことないけどね・・】


「ホットコーヒーひとつ。あ、ミルク多めに持ってきてくれる?」


 クライアントが到着した。「やぁ、朝倉ちゃん、お待たせ。」

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」

「あー、俺も同じものを・・って、朝倉ちゃん、それはホットミルク?」

「コーヒーですよ。。」

「え?ホワイトコーヒー? ま、いいや。じゃ俺もホットコーヒーね。」

「かりこまりました。同じくコーヒーフレッシュは10個でよろしいですか?」

「はぁ? ミルク要らない。俺、ブラック派だから。」

「かしこまりました。」ウェイトレスが去っていった。

「朝倉ちゃん、コーヒーフレッシュ10個も入れたの?もうコーヒーの味しないでしょ?」

「ホットコーヒー牛乳ですかね。 ほら、牛乳飲まないと大きくなれないから」

「コーヒーフレッシュは牛乳じゃないし。って、よくそんなの飲んでて太らないね」

「日々の鍛錬の成果でしょうね」

【日々の粗末の食生活の成果だね・・】


 クライアント、大手探偵事務所の佐々木さんからの依頼は浮気調査が2件。

そう、俺は困ってる人を放っておくことができず、人手が足りなくて調査が滞ってしまう探偵仲間の案件を助けることもしてるのさ。

【世間ではそれをフリーの下請け探偵と呼ぶらしいぞ・・】


 さぁて、ちゃっちゃと片づけるかな。まずは1件目、対象者の職場は川崎ね。

先月買ったばかりの左腕のロレックスに目をやる。16時10分。ちょうど良い時間だな、向かうとするか。


実はこのロレックスには物語があるのだ。先月の日曜日、御徒町の裏通りでフランス人から声をかけられたのさ。彼が言うには、日本へ観光旅行に来たけど、スリにあって財布をすられてしまって帰国費用が無くなってしまったんだそうだ。そこで泣く泣く虎の子のロレックスを売って、帰国費用を作ろうということだったのさ。

ヤツはスリにあったしまったことは運が悪かったが、俺に会ったことはそれ以上にラッキーだったのさ、何故なら俺は義理と人情で世界は兄弟を信条とする国際派探偵だからさ。


詳しく話を聞けば、このロレックスは世界に一つしかない本当に貴重なものらしい。特に文字盤のロレックスのロゴの印刷がズレてるところが超レアものだそうだ。確かに印刷ミスの紙幣はエラー物としてマニアの間では高額で取引されてるからな。しかも、俺はそんな超レアものを友達価格としてたった3万円で譲ってもらったんだ。

【自称フランス人のツーリストの割には日本語がバリバリだったことと、よく見るとレロックスと綴りも間違って印刷されてることも付け加えておこう。】

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