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2021年11月15日 16:42
良いですね~ネット小説界隈ではあまり見ない、純文学的路線。さらに、古典的なものを踏襲しつつも、時代に合わせた言葉の選び方は好感が持てます。この異世界ファンタジー一強のネット小説に新たな風を吹き込んでほしいものです。しかし、褒めるばかりが批評ではないと存じます。しっかりと“粗”については言及していきましょう。まず、ネット小説という土台に立つならば、守らなければならないルールがあります。それは『読み易さ』についてです。文庫本などと違い、ネット小説の大半は横書きが主になります。さらにはデジタルが媒体の文章ですから、詰めた字や、複雑な文字は総じて『読みにくい』と判断されます。大概の作者様はこの解決策として括弧を使い分けたり、ルビを振ることによって、“ひらがな”の情報を増やして『読み易さ』を作り上げます。この“カクヨム”にこの作品を見る読者がかなりの数いたとして、その大半は一話で切ります。なぜなら、読みにくいからです。私の主観ですが、漢字が豊富な文章と横に連ねていく書き方はどうも相性が悪い。だからこそ、何か対策を講じる必要があります。確かに、行を空けて、空間を作ることによって視覚的余裕を生みだしていますが……古風な世界観はまだ「古臭い」文体という状態に留まっている気がします。字体を崩すということは世界観を崩壊させることに直結しますので、あえてそこには言及しません。ですが、物語の構成についてだけ、少し意見を。これもまた世界観に関わる事なのであまり気になさらないでほしいのですが、最近の“文章”の特徴として、文章においての「序破急」が明確な作品が好まれる傾向にあります。この物語においての緩急、その急は三話から四話にかけてあたりだと、私は感じ取りましたが、どこを物語の山場に持ってくるのか、というのが文章で表現し切れていない気がします。言い方を変えるならば、どこかまだ落ち着いた雰囲気を装っている節がある。コメディだろうとホラー、ラブロマンス、戦記、何であろうとも、必ず読者の心をギリギリと引き絞る展開――「緊張」が必要になってきますが、この物語の緊張はまだ張れる余地があるのでは、と感じました。もっと張った展開の先に、オチが来た時、読者の余韻というものは数段上になるのではないか。私はそう感じます。総評【字頭の良さが窺える文体は、軽々しく真似できるものではないが、かといってストーリーそのものの出来栄えは、どうにもまだ改善の余地が残されているように思える。研ぎ澄まして洗練された文章だからこそ、細かい粗が目立つ。そういったものにも気配った文章が出来れば、文学的に素晴らしい作品となる事間違いなし】
良いですね~ネット小説界隈ではあまり見ない、純文学的路線。
さらに、古典的なものを踏襲しつつも、時代に合わせた言葉の選び方は好感が持てます。
この異世界ファンタジー一強のネット小説に新たな風を吹き込んでほしいものです。
しかし、褒めるばかりが批評ではないと存じます。
しっかりと“粗”については言及していきましょう。
まず、ネット小説という土台に立つならば、守らなければならないルールがあります。それは『読み易さ』についてです。
文庫本などと違い、ネット小説の大半は横書きが主になります。
さらにはデジタルが媒体の文章ですから、詰めた字や、複雑な文字は総じて『読みにくい』と判断されます。
大概の作者様はこの解決策として括弧を使い分けたり、ルビを振ることによって、“ひらがな”の情報を増やして『読み易さ』を作り上げます。
この“カクヨム”にこの作品を見る読者がかなりの数いたとして、その大半は一話で切ります。
なぜなら、読みにくいからです。
私の主観ですが、漢字が豊富な文章と横に連ねていく書き方はどうも相性が悪い。
だからこそ、何か対策を講じる必要があります。
確かに、行を空けて、空間を作ることによって視覚的余裕を生みだしていますが……古風な世界観はまだ「古臭い」文体という状態に留まっている気がします。
字体を崩すということは世界観を崩壊させることに直結しますので、あえてそこには言及しません。
ですが、物語の構成についてだけ、少し意見を。
これもまた世界観に関わる事なのであまり気になさらないでほしいのですが、最近の“文章”の特徴として、文章においての「序破急」が明確な作品が好まれる傾向にあります。
この物語においての緩急、その急は三話から四話にかけてあたりだと、私は感じ取りましたが、どこを物語の山場に持ってくるのか、というのが文章で表現し切れていない気がします。
言い方を変えるならば、どこかまだ落ち着いた雰囲気を装っている節がある。
コメディだろうとホラー、ラブロマンス、戦記、何であろうとも、必ず読者の心をギリギリと引き絞る展開――「緊張」が必要になってきますが、この物語の緊張はまだ張れる余地があるのでは、と感じました。
もっと張った展開の先に、オチが来た時、読者の余韻というものは数段上になるのではないか。
私はそう感じます。
総評【字頭の良さが窺える文体は、軽々しく真似できるものではないが、かといってストーリーそのものの出来栄えは、どうにもまだ改善の余地が残されているように思える。研ぎ澄まして洗練された文章だからこそ、細かい粗が目立つ。そういったものにも気配った文章が出来れば、文学的に素晴らしい作品となる事間違いなし】