第16話
「試合前に生徒会との掛け持ちはキツいなぁ」
ルナタウン表通りを歩きながら、静香は疲労の溜まった身体に活を入れた。
「少し遅くなったけど、まだ開いてるかな」
2つ先の小路を曲がろうとした時、彼女は前から来た男子生徒に正面から思い切りぶつかってしまった。
「キャッ!!」
「っと」
「す、すいません」
完全に自分の不注意だったので、静香は慌てて頭を下げた。
とっさに彼女を受け止めた形の男子学生は、足元に落ちた大きなボストンバッグを拾い上げた。
「大丈夫?井隼さん」
「はい、私は何とか・・・え!?」
自然に自分の名前を呼ばれた静香は、びっくりして声の主を見た。
「あ、御角さん!?」
真っ赤になった彼女は、バッと身体を離してぱたぱたと姿勢を正した。
「申し訳ございませんでした、有難うございます」
「いいよ、こっちもよそ見してたから」
屋敷川高校元弓道部、御角修は柔らかな笑顔を見せた。
「久しぶりだね」
「はい、お会いしたのは強化合宿以来です」
「急いでいたみたいだけど、どこかに行く予定だったの?」
「そうでした、実は・・・」
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