「暗記の仕方」
「次は「暗記の仕方」について話してくね。ただ単に暗記と言っても効率の良い暗記の仕方をここでは話してくね。普通の暗記方は皆もう知ってると思うから。まあ、普通が何かは曖昧だけども」
「分かった。私的には暗記は、何度も書いて覚えるって感じかな」
「さっき話したとおり、書くっていう作業は基本的に私はおすすめしない。効率がとても悪いから。書くよりも見たほうが圧倒的に効率良く回転させられる」
「書くよりも見る、だね。けど、暗記ってそれだけ?」
「いいや、暗記の基本は見ることじゃない。確かに何周もするっていうことはとても大切だけど、もっと大切なことがある。それは、睡眠という味方を作ること」
恵里は首をかしげる。テスト期間中の恵里にとって、睡眠というのは敵である。それなのに睡眠を仲間にしろというのだ。
「睡眠を味方にするっていうのは、睡眠を上手く使って勉強に活かしちゃおうっていう話。この話のモチベーションは、睡眠を活用して効率よく暗記することで勉強時間を減らす。そして、勉強時間が減った時間で睡眠をする。になる」
「勉強時間を減らして、睡眠時間が増えるなんて、本当に出来るの?そんな事できたら革命じゃん」
「できちゃうんだな~、これが」
里菜がドヤ顔で答える。その返答を聞き、恵里が目を輝かせた。勉強時間を減らし、睡眠時間を増やす。そんなうまい話本当にあるのだろうか?事実だったら、誰もが今すぐ実践したい内容だろう。
「その方法を実施するには、たった一つのことをするだけ」
「たった一つ?そんなので出来るの?」
恵里が驚いた表情でそう言った。
「それは、寝る直前に暗記をすること。目安で言うと、寝る一時間前から寝るまでの時間は暗記に使える」
「寝る前に暗記をするだけ?そんなので勉強効率が上がるの?」
恵里は未だにどこか信じられない様子だ。
「まず最初に、睡眠がどんな役割を持っているかを教えよう」
「睡眠の役割って、疲れを取ることじゃないの?」
「睡眠の役割は色々なものがある。今回の話に繋がるのは、睡眠によって記憶の整理がされているっていうこと。この記憶の整理がされるときに、その日に起きたことが記憶に定着する。それは、勉強したことも同様にね。そして、この記憶の定着には、寝た時間に近いほど記憶に残りやすいっていう性質がある」
「あ、だから寝る直前に勉強するのか」
「その通り。寝る直前に勉強すると、記憶に一番定着しやすい時間に勉強することが出来る。だから、寝る前が暗記には向いているっていう寸法」
「なるほどね、その他に効率よく暗記する方法って無いの?」
理恵は好奇心からか、さらなる方法を自分から聞いた。
「勿論あるよ。そうだな……間違えた問題だけを解き治すってことかな。これは主にワークで使える技だね」
「さっき里菜が教えてくれた教科書の勉強方法では使えないの?」
「やろうと思えば出来るんだけど、あれは問題を間違えてから期間を置くために時間が必要だから、その空き時間を作るために正解した問題を再度解いている感じだから別かな。それに、歴史とかの場合は、前後との流れがあったほうが、並び替え問題でも有利になるし。社会で特に歴史は全部やり直し勉強法の方がいいかな」
「わ、分かった。特に歴史がおすすめってことは、他のは違うの?」
「うん、例えば前後関係があまりない理科は、間違えた問題だけで良い。けど、これは教科書を赤シートで行う勉強法の場合の話ね。ワークの場合は別になる。
「え、ワークは違うの?」
「また歴史の話になるけど、歴史のワークではある程度は流れが残ってるけど、全部は残ってない状態になってる。だから、教科書の暗記方の全部やることによって生まれる流れを覚えられるというメリットが実際少ない。だから、ワークでは間違えた問題だけを解き直すという手法で大丈夫」
「確かにワークだと厳選された問題だけだもんね。そこが教科書と違うんだね」
「そう。ちなみに、間違えた問題をワークに印を付ける時におすすめな方法は、正の字や、アメリカで使われている正の字のようなもの:Tally marksを使うのが良いよ」
「チェックだとダメなの?」
「何周もするっていうことを前提にすると、二回間違えた時に印を付けにくいからね。あと、二周するためには、ワークには直接書き込まずに、ノートに書き込む必要があるよ」
「あれ?ワークを解く時には書き込んでいいの?」
「ああ、そうだった。良い質問だね。実は私も最近までは書いて解いてたんだけど、答えを横に置いて、上から下敷きとか教科書で隠して一問解いたら下にずらして見ていって。っていう方法が良いね。それ以外には、ワークの問題の隣にオレンジペン:赤シートで隠すと見えなくなるものなら何でも良い(黒字を隠すためのものは、シャーペンで書いてからマーカーをするという二度手間になるからおすすめしない)で答えを書いちゃうっていう方法がある。そうすると、答えを広げなくていいから、狭い場所、例えば電車とかでも勉強できておすすめ」
「なるほど、一回書くだけでその後は書かなくて良くなるのか。まるで投資だな」
恵里がドヤ顔で言った。里菜は顔を若干引きつらせた。
「そ、そうだね。あと、暗記では一回を濃くやるよりも、何回も薄くやったほうが記憶に残りやすいよ」
「何で?質が大切なんじゃないの?質を悪くしたら良くない気がするんだけど」
「分かりやすく言うと、一時間知らない話した知らない人よりも、数秒毎日見る近所の人の顔の方が残ってるでしょ?」
「確かに、それが回す事による記憶の定着か……」
「そう。恵里、段々と私の言いたいことが分かるようになってきたね。今までのまとめとしては、寝る前に勉強する。ワークは間違えた問題だけを解き直すことだね。さて、何で私が今ここまでで説明したことの簡単なまとめをしたのは何でだか分かるかな?」
そう里菜が問いかけると、恵里は固まった。
「え、えっと。記憶に残りやすくするため?」
「そう、そのとおり。因みに、この簡単なまとめを授業の終わり毎にすると、記憶に内容が定着しやすくなって、家での勉強時間を減らせるよ。挨拶の後の数秒を使うだけで、大きなメリットが得られるから、ぜひやってみてね」
「分かった。今度からやってみるね」
「さて、最後に私が追加で説明した、記憶に定着しやすくさせる方法は覚えてるかな?簡単な一言でまとめてみてね」
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