九相図
三岐 薫
1日目
わたしの目の前には美しい女の死体がある
昨日まで閉じていた口元がゆるみ
少し開いている
名前を呼んでみるが返事はない
生前、女が自ら施した化粧のせいか
頬には赤みが残り
形の良い唇にも熱を感じられそうだ
触れてしまうと
そこから腐敗が始まりそうで
顔に触れることは躊躇う
体が硬直しているのか
うまく手を握ることはできなかった
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