白雪は溶けて

魔女と人間

日没

「凛ー、早く帰ろー」


「えぇ、もうちょっとだけー」


「早く帰んないとー、魔女に襲われちゃうよー」


 日没前の公園ではもう日常だ。「暗くなると魔女が出て、魔女に襲われる」子どもに言うことを聞かせる典型的な決まり文句。私も小さなころに言われていたような気がする。ここでいう“魔女”とは空想のモノではなく、実在する“魔女”のことだ。自分が生まれる前だがとある事件をきっかけにその存在が公となった。その頃から既に魔女は人々に忌み嫌われていた。


 魔女は人間を救った。


 人間は魔女を嫌った。


 勿論、全ての人間では無い。人間を救った魔女を擁護する人間もいた。だがどうしても魔女を嫌う人間の方が圧倒的に多かった。今でもそうだ。魔女は人間に危害を加えていない。なのに人間は、


「魔女の力は危険だ」

「魔女はいつか必ず人に仇なす」

「魔女を追いやるべきだ」


 そんなふざけた言を平然と放った。“仇”そうだ、人間は魔女に恩を仇で返したのだ。魔女はなんでこんなにも忌み嫌われなければならないんだ。人間はなんでそんなに魔女を恐れてるんだ。人間のわたしは、そんな人間のがことが理解できない。

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