第3話 衣食住は大事
魔石回収を終えた俺。そこでほっとしたのか緊張の糸が切れたように、どかっと川の淵の大きな石の上に座り込んだ。
「ふぅ~~ 疲れた~~」
人間慣れないことすると、やっぱり疲れるんだな。精神もそうだがこわばっていた筋肉が弛緩していくのが分かる。
それと同時に、「ぐぅ~~」と何とも締まらない音が。
そうだよな昼頃なんて思っていたのに、移動することしか考えてなくて、お腹がすいてる事にも気づかないなんて、どれだけテンパっていたんだ。享年38歳の俺。
これからこの異世界で尚且つ、この森で暮らして行こうとしてるのに、何とも情けない精神アラフォーの17歳。
「やっぱり精神が体に引っ張られてるのかな?」
そんなことを考えながらも、ここまでくる道中で見つけた果物をインベントリEXから取り出し食べることにした。
鑑定EXのおかげで、名前や食べられる、食べられないが解ったので、地球では見たことないような果物でも、楽々採取出来る。やっぱりスキルや魔法のある異世界って凄いな。
腹も落ち着いたら、そうだ、ゴブリン倒した時に何か頭の中で音がしたなと、急に思い出したので、異世界定番のレベルが上がったのだろうと、ステータスを確認。
名前 ユウマ コンドウ(近藤優真)
種族 人族
状態 良好
職業 なし
レベル2
HP 150/150
MP 180/180
スキル 言語理解EX 鑑定EX インベントリEX
魔法スキル 風魔法 水魔法
固有スキル 創造魔法
称号 創造神の加護
レベル上昇と共にHP、MPは回復するのね、本当はゲームのように細かく筋力とか知力とかも解るんだけど、元ゲームプログラマーらしからぬ、生活するにはそんな細かいこと気にする必要ないと無視。
この世界の仕組みがどうなってるのかさえ解ればOK、後は感覚で解るしね。
この事がいずれ大きな意味を持つのだが、この時の俺は知る由も無かった。
何故かというと、俺のステータスやスキルが特殊なだけで、スキルにEXなんて本来この世界には存在しないし、レベル、HP、MP、スキル、魔法の表示だけがこの世界の住民の表記、生活に直結してるからね。
固有スキルは本当に稀に持って生まれてくる人がいるそうだが、種族特性的な物や、創造神が世界に手を加えたいなと思った時に、役に立ちそうなスキルを与えることがあるが、もらった本人がどう使うかによって、神様が思ったようにはなかなか行かない。
称号に本来神様の加護なんて付かない。付くにしてもその人の生活習慣から付くもので、特に付きやすいのは犯罪や悪事に関すること。
職業が冒険者や騎士、商人でも犯罪や悪事を犯していれば、それらしい称号が付く。
だから、かなりお高いんだけど、そういう称号を隠ぺいできる魔道具が存在する。
まぁ簡単に言うと細かく隠ぺいなどするのは無理なので、鑑定をさせない、そういう魔道具。個人情報ですからと言い訳もできるしね。
それにこういう職業の人は身分証明を持っているので、門とかで使う水晶にも触れないので、先ず見つからない。
俺が作ろうとしてる隠ぺい、偽装魔法は全く違う優れものなんだよね~~。エッヘン。エッヘン何て年幾つだよ……?
当然解ってると思うけど、生粋の盗賊は身分証など持たないから、当然一発アウト。
如何せんたちが悪いのが前者の様な犯罪者なのです。俺の鑑定EXには関係ないけどね!
あぁそうそう、此処で言ってる事、殆ど後から知ったことです。偉そうに済みません。
ステータス確認も終わったので、本来の住を作りますかね。
それでも時間的に厳しそうなので、本格的な住居は土魔法を鍛えてから作ることにして、今は仮住まいを作ることにする。
勿論、お解りのように、岩肌がむき出しの丘に穴を掘って、雨風が凌げる簡易な物を作る。(コミックやアニメの定番だよね)
此処で役に立ったのが、勿論! 創造魔法。アニメで見たあの魔法を作るよ。岩を壊すブレイクロック、其れを固めるロックの合成魔法、クリエイトブロックをね。
出来たブロックは本格的住居に使えるから一石二鳥なのです。ハイ
まぁ本当は合成魔法ではなく、全てはイメージなんだけどね。
こういうのが簡単にイメージできる日本人で本当に良かったな~と思う。今日この頃
MPも時間もそんなに多くないので、兎に角簡易な洞窟を掘ることに。一時間ぐらいで(感覚的に)とりあえず何日かは過ごせそうな洞窟が完成。これで食と住はなんとかなったかな。
残るは衣なんだが、こればかりはそう簡単にはいかない。仕方がないので、日本人なら風呂に入りたいけどそれも今は無理そうなので、汚れた服とついでに体も綺麗に出来る、生活魔法クリーンを作ることにした。
これも当然のことながら、この世界の生活魔法クリーンとは別物ができたわけで、現代知識によるイメージ力に感謝するばかりです。ほんと……。
とりあえず、簡単ではあるが衣食住が整ったので、ここからは時間の許す限り、ベット代わりになる草を刈ってきたり、簡単な竃を作ったり、雨が流れ込んでこないようにしたりと、ホームセンター時代のキャンプ研修をいかして頑張りました。
最後は寝る時に魔物が入ってこれないように、洞窟を塞ぐための土魔法を練習。薪になりそうな枯れ枝や倒木を集め、着火用に生活魔法スモール(プチ)ファイヤと明りの為にライトを作って今日の作業は完了。
辺りが暗くなってきたので、早めの食事を味気ないけど果物で済ませ、明日からの行動をどうするか考えながら、草のベッドで眠りについた。
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