異世界転移 産業革命を添えて

まほろば

第1話 テンプレから


「ふ~ 疲れた 今日も一日社畜ご苦労さん」 


 毎度毎度の終電帰宅、自分で褒めるしかない。独身アラフォー38歳、おまけに天涯孤独。


 両親は俺が高校生の時に事故であっけなく二人とも逝ってしまった。祖父母はその時は健在だったので引き取られ、その後は普通に生活は出来た。


 その祖父母も俺が30歳になるころには二人とも逝ってしまったけどな。


 やはり多感な時期に起こった不幸のせいで、どこか陰のある性格になったのはご愛敬。


 大学は行かせてくれると祖父母は言ってくれたが、元々そんなに勉強が好きでもないし、年金暮らしの祖父母にこれ以上おんぶにだっこはしたくなかったので、そのまま就職、近所のホームセンターで働きだした。


 勉強は嫌いだったが、パソコンは何故か性に合っていたのか、独学で簡単なゲームを作ったりする趣味があったので、働きながらコツコツやっていた。


 就職して5年が過ぎたころ、ベンチャーゲーム会社のコンクールがあったので、趣味で作ったゲームがどう評価されるのか、試しに応募してみたら、何と! 何と!


 準グランプリ!


 どうして、俺はこうも今一つなんだろう。


 まぁそれでも良いこともあったんだけどね。何かというと、コンクール主催のベンチャー企業の社長に認められ、その会社で働かないかと誘ってもらえたんだ。


 悩んだ末、ホームセンターで一生終わるよりいいかもと思い、誘いに乗ることにした。


 それが運の尽き……。


 最初は良かったんだよ、準グランプリの肩書があったから。でも、やっぱり学歴社会なんだよね。この世の中。


 後から入社してくる奴は皆さんもれなく大学卒。頑張っても仕事の出来が変わらなければ、どんどんおいていかれる。その結果出世できずに主任どまり。


 毎日、上と下との板挟み、高卒の負い目もあり、下に仕事を押し付けられず、仕方がないので納期に間に合わせるために、サービス残業。いや~ほんと損な性格してますわ。はい! 


 ここで冒頭に戻るわけだが、この先がテンプレなんですよ。前ふり長くて済みません。


 帰りにコンビニで買った晩酌用のビールとおつまみ、録りためてる録画番組観ながら、今日の疲れを癒していたら、急に目の前がグルグル回り始め、あれよあれよと暗転、これが最後の記憶になりました。享年38歳。


 それが何と次目覚めたときは、テンプレの展開に……。


 周りはうっそうとした森の中、見たこともないような巨木だらけ。 着ている服も現代風ではなく、良くある異世界転生物に出てくる、服を着ている。


「う~ん、 なんだかまだ頭が今一つ働かない」


「晩酌してて、グルグル、暗転? あ!そうだ、俺、死んだんだった」


 何故ならその後、気づいたら真っ白な部屋で神様と会ったんだよな。聞かされた話はこれまたテンプレで、両親が早く亡くなったのは、死神の手違いだったと。


 両親に詫びを入れて、「異世界で生きてみないか」と申し出たんだが、両親は自分たちがいなくなって、寂しく、苦労するはずの息子に良くしてくれというものだったそうだ。


「優しい両親に感謝」「有難う父さん、母さん」


 それでも神様が現世に干渉し過ぎると良くないことが起きるので、妥協案として、俺が死ぬ時に、異世界で穏やかな第二の人生を送れるように色々盛りだくさんで送ってくれるようになったんだって。


 知識はそのままで、両親が亡くなった17歳に若返ってのおまけつき。


「テンプレ万歳! 神様、父さん、母さんありがとう!」


 ほんと趣味で読んでたWeb小説のまんまのテンプレ異世界転生? 転移? あるんだね~~、本当に。


 さて気を取り直して、それでは言ってみようか。お待ちかねの異世界テンプレの言葉。


 いやはやこの言葉を自分が現実に言う事になるなんてと思いながらも、恥ずかしいから小さな声で


「ステータスオープン」

「お~~~~」


 出ました出ました不思議ウインドウ。感動と驚嘆、少し呆然としてから、気持ちも新たにでは拝見しましょうかね。


 名前 ユウマ コンドウ(近藤優真)

 種族 人族

 状態 良好

 職業 なし

 レベル 1

 HP 100/100

 MP 100/100

 スキル   言語理解EX 鑑定EX インベントリEX

 魔法スキル -

 固有スキル 創造魔法

 称号 創造神の加護


「ありがたや~ありがたや~スキルまでもテンプレ」


 ま! ここまでは知ってたけどね。そりゃ当然でしょう、神様とお話し合いの末決めたステータスだからね。


 それでもやっぱりやらねばならんでしょう、「テンプレなのだから」 あはぁは……。


 遊びはこれぐらいで、行動に移らなければ、ここは人里離れた森の中なのですから。


 この森に送ってもらったのにも実は理由があるんですよ。


 生前の仕事の人間関係で疲れ果てていたので、出来ればあまり多くの人と関わらない人生を送りたいと、お願いした結果がこの場所なのです。


 元々はインドア派なのですが、ホームセンターに勤めた為かアウトドアにも抵抗はあまりないのです。


 キャンプ用品の研修でメーカーさんにキャンプに連れて行かれたり、建材、ガーデニング、などなどそれはもう色々やりましたからね。


 そうそう忘れてならないのが、この世界はやはりテンプレ、魔物もいれば、異種族もいる。


 一つだけテンプレではないのが、勇者や魔王なんてものは存在しない。


 剣と魔法のある中世の様な文明の世界。勿論、異世界特有の世界の常識もある。


 はてさてこれからどうなるのか? 不安と期待が入り乱れての異世界生活始まります。




**************************************


処女作の為、文章的におかしかったりしている部分が多々あると思いますが時間を見つけて改稿して行きますのでご容赦ください。

コメントにて誤字脱字、矛盾などありましたらお知らせください。


評価 まぁ読める  ☆

   まぁまぁ面白い☆☆

   面白い    ☆☆☆


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