第4話 抹茶ラテでも良いじゃない
「どっ、どうした?」
「どうしたって?」
「いや、どうしたのか? と私が聞いているんだが?」
「何が?」
「いやいや。質問に質問で返すのは良くないぞ。ここはビジネスの現場や国際外交の最前線では無いのだ。その様な高度なテクニックをろうさずとも、素直に答えてもらえればそれで良い」
「だって本当に何言ってるのかわかんないんだもん」
「くっ、それは失礼した。確かに思い返せばこの三十分余りの間、私は本来の目的達成に向けて、脳内でこの問題を何度も
「飲んじゃった」
「……飲んだ?」
「飲んじゃった」
「……飲んだ?」
「これ……天丼?」
「いや、別に笑いを狙った訳ではないぞ。私が汗水たらし……あぁいや、私の労力についてはこの際関係無いな。今回の問題の趣旨とは異なる。何しろ私は己の判断において百均へと足を運んだ訳だからな。別にお前に言われたから
「ちーちゃん……」
「ひぐっ。なっ、なんだ? もう私に用は無かろう? 既に茶は飲み終わっているし、
「もう一回」
「なっ、なんだ? もう一回とは?」
「ちーちゃんのあったかいお茶が飲みたいなぁって」
「あたたかい……お茶?」
「そうだよ。前のお茶は冷めちゃったからね。私が飲んでおいたんだよ。ちーちゃんが戻って来たら、一緒にあったかいお茶をストローで飲めば良いかなぁって」
「え? 一緒……に?」
「うん、そうだよ。一緒にだよ?」
「え? そ、そうか。そう言う事……なのか? えへっ、えへへへ。でっ、であれば、仕方が無いなぁ。うむ。そうだな、冷めてしまっては折角のお茶が台無しだ。改めてお茶を点てるとしようか。そうだ、お前が茶が苦いと言っていたからな。ついでに近所のスーパーでミルクとバニラエッセンス、それにコーヒーも買って来たぞ。一緒に点てれば抹茶ラテだ。これならお前でも飲めるだろう。よっ、よし。急いで準備するからな。そのまま待ってるんだぞ。何処にも行っちゃ駄目だからなっ!」
うふふ。
ちーちゃんって、ちょっぴりポンコツだけど……かわいい。
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