第14話 不死身の怪物 2
「な、なんだ……?」
リーナが慌てて回りを見る。
既に何人もの男たちがリーナとユウヤの周りを包囲していた。
「き、貴様ら……!」
「おっと。抵抗はよした方がいいぜ。隊長殿。俺達も同じ国民同士、あまり、むごたらしくアンタを殺したくない」
兵士の一人が前に出てリーナにそう告げる。リーナは既に剣に手をかけていた。
「やれやれ、こんな小娘一人殺すのになんで極秘任務なんだか……大体、森の怪物なんていないじゃないか」
兵士の一人が呆れたように呟く。
周りの兵士達もへらへらと笑っていた。
「……っていうか、そこのデカイヤツを暗がりで見間違えたんじゃないの?」
と、その一人がユウヤを指差す。
指差されたユウヤは突っ立っていることしかできなかった。
「ははは。確かに、おい、お前、やけにデカイな。木こりか何かか?」
「え……は、はい……」
そう言われて、間抜けにユウヤは返答してしまう。
ユウヤは内心驚いていた。
人間。しかも、こんなにたくさんの人間がいるなんて、思わなかったからだ。
やはりリーナの言っていることは正しいようだ。
この世界のどこかに王国があって、人間が暮らしている。
そして、リーナの状況を見るにその国が内紛を起しているというのも。
「まぁ、いいや。とりあえず、さっさと隊長様には死んでもらおうか」
そういってそれぞれの兵士達が剣を抜く。
悔しそうに唇を噛みながらリーナが剣を握った。
「え……ちょ、ちょっと」
と、ユウヤがその間に割ってはいる。
「あ? なんだよ」
兵士が面倒くさそうにユウヤの方を振り向く。
「いや……何やってんだよ。そんな小さな女の子一人に、大の大人が寄ってたかって」
「あぁ? 森の木こりさんには関係ないだろ? 引っ込んでろ」
「関係なくはない! 俺は――」
と、兵士の一人が剣を柄に納めてユウヤの近くに寄ってきた。
「……なぁ、兄ちゃん。確かにアンタにとっては目の前で人が殺されるのは嫌かもしれない」
「や、やめろ! ソイツは関係ない!」
リーナが叫ぶ。しかし、兵士はリーナの声は気にせずそのまま再び剣を引き抜き、ユウヤに突きつけた。
「だがよぉ、アンタまで巻き添え喰うのは嫌なんじゃないか?」
ユウヤはそんな態度をとられても、全く恐怖しなかった。
当たり前だ。既に 何度も自身にナイフの切っ先を向けてきたのだ。殺してくれるなら殺してくれといわんばかりに。
「いや……別に」
「あぁん? てめぇ……死なないとわかんねぇみてぇだなぁ!?」
「や、やめろ!」
リーナがそう叫んだ時には、既に遅かった。
兵士は血の気が多かったのか、次の瞬間にはユウヤの心臓辺りに深く剣先が食い込んでいた。
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