第13話 不死身の怪物 1
その日の朝早く。リーナは目を覚ました。
「あ、ああ。おはよう」
といっても、すでにユウヤの方が先に目覚めていた。ユウヤはなるべく友好的に接しようとするが、明らかにリーナは警戒している。
「……魔術師め。私の寝ている最中にどうせ私に何かしたのだろう?」
「だ、だから……俺は魔術師でもなんでもないの。普通の……」
人間、とはいえなかった。なぜならユウヤはもう人間ではないのだから。
「……確かにな。助けてもらったことには礼を言おう。だがな、貴様は危険だ。私は今すぐにでもこの邪悪の棲家を発つ」
「え……身体はもう大丈夫なの? もう少し安静にしていたほうがいいんじゃ……」
「貴様のような外道に心配されるまでもない!」
怒ったようにそのまま立ち上がる。そして、リーナはそのまま剣を取り、外へ出てしまった。
「ちょ……ちょっと待てよ!」
リーナはユウヤの声を聞くとキッと振り返る。
そして、鋭い眼光でユウヤを睨付け、そのまま剣を抜き放つと、その切っ先を突きつけた。
「いいか? 貴様は確かに私を助けた。だが、あまりにも怪し過ぎる。まるで正体を隠すような服装といい……それに私には使命があると言っただろう。だから、すぐにでも行かねばならんのだ」
「で、でも……そ、そうだ! 俺も一緒に行ってもいいかな?」
その場の思いつきであったが、ユウヤは直球で聞いてみた。
流石に面食らったようにキョトンとしていたリーナだったが、すぐに我に帰ると首を横に振る。
「ダメだ。貴様のような得体の知れない人物を一緒には連れて行けない。それに貴様にもここでの生活があるだろう?」
「い、いや……だ、大丈夫。ここはこのままにしても……だ、だから、リーナ、その……俺も連れて行ってくれ」
リーナは困ったような顔をする。先ほどまでは敵意むき出しの表情だったが、今度はいきなり一緒に同行させてくれと言われて困惑しているのだろう。
「な、なぁ? いいだろう?」
「し、しかし……」
と、そのときだった。
「へへへ……見つけたぞ! 隊長様だぁ!」
悪者というのは現れる時にはお決まりの笑い方をすルールでもあるのだろうか、下卑た笑い声が聞こえてきた。
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