⑤
「……凄かったね…。」
ベッドに並んで寝そべりながら。
窓の外。隣の部屋をふたりで眺める。
ふわふわの癖っ毛に指を絡めれば、猫みたいに目を細めた。
「意外と激しかったね…今の…。」
他人のセックスに興奮気味の恋人は、頬を赤らめ真剣に感想を述べる。
俺は視線を窓に移し、早々と2ラウンド目に突入したソレを眺め、鼻で笑った。
「まっ、初めてであれだけ出来れば上等だな。」
「えっウソ、晴二くんて童貞だったの?あんな凄いのに?」
「あ?あのバカは春流にベタ惚れだろ?浮気するほどアイツは器用じゃねぇよ。」
「そっか~、春流と晴二くんもとうとう身体で結ばれちゃったんだね。」
僕達みたいに。
そう告げて身体を擦り寄せてくる夏津。
俺達ふたりの初夜も、概ねあんな感じだった。
まあ…アイツらよりは、もう少し幼かったけど。
「…何だ、また欲しくなったか?」
誘うような夏津の密着に、ツキンと下半身が疼く。
まぁ、随分前からソレは芯を持っていたんだが…。
「ンッ……」
喉を擽れば、甘い吐息を漏らす夏津。
瞳は節目がちに、俺を平気で奈落へと誘う。
コイツら兄弟は、とことん淫乱体質で。
本能的に俺達兄弟を捕らえてるから。
俺も、魅せられたひとり。
だからといって、誰かに渡すつもりも無い。
「いいぜ、覚悟しろよ?」
弟なんかに負けてらんねぇ…。
夜はこれから。
魅せてやるよ、獣の本性を。
…end.
2010年1月23日.完結
2022年某日・加筆修正。 祷治
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