酸いも甘いも(晃亮×遥)

・晃亮×遥

・攻め嫉妬

・甘々


━━━━━━━━━・・・・




お前を何処にも行かせたくない

それは、独りよがりじゃなくて。



優しい、独占欲─────…



 

               酸いも甘いも。




side.Kousuke





「晃亮、これ片しとけ。」


はいよと食器を渡され、頷く。

俺はそれを棚の決まった位置へと納めた。


もうどれが何処にあるかくらいは、すぐに判る。

ちょっとした家事なら、ひとりでもなんとかこなせるようにもなった。






「ふん~ん~…」


ほろ酔い気分の遥は、上機嫌に皿を洗う。

その後ろ姿をぼんやりと眺めてたら…






「はるか、携帯鳴ってる。」


「ん~?」


ソファに投げ出されたままの、遥の携帯電話が震えているのに気付き。

何時までも鳴り止まないソレに気が進まないまでも、仕方なく遥に向かって声を掛ける。


遥は間延びした返事をひとつ寄越し、ぷらぷらと水を散らしながらこっちへやってくると。

震えっ放しの携帯を半乾きの手で取り上げ、無造作に通話ボタンを押した。







「もしもし~?ああ、おばちゃん相変わらず騒がしいな~。こんな時間にどしたよ?」


遥が『おばちゃん』と呼んだ、電話の相手。

それには心当たりがあった。確か親戚とかだったハズだ。


遥は愛想良く、そのおばちゃんと世間話し始める。







「…ああ、元気だよ。こないだ話したばっかじゃんよ。え?来週の日曜?…」


立ったまま話し込んでいる遥の斜め後ろ、俺は黙ってその様子を見守る。

話してる内容や、おばちゃんの要件が何かは全く判らなかったが…


俺は、この『おばちゃん』がきらいだ。何故なら…







「はぁ?見合いって…またかよ…」


なんとなく遥も予測していたのか、面倒臭そうに苦笑いする。


対して俺は遥の発した台詞にぴくりと反応して。

自分でも判るくらいに顔を強張らせた。



少し、落ち着かない…

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