ラブソングはいらない

みなみくん

第1話 彼と彼女

またね



笑顔で手を振り別れる


またね


多分もう無いであろう、またね




おまたせ、初めまして


またね






好きってなんだろう


好むもの


食べ物や飲み物はすぐに思いつく


けど、人になるとよく分からない


あたしのこと好き?


分かんない


普通?


頬が腫れるくらい殴られて以来それは言わないことにした、誰にも


好きか嫌いかでどっちかで聞かれたらまあ嫌いじゃないから好き?嫌いなら関わってないし


くらいの感覚




だから



好きだよ



ありがと




それしか答えはないいつも


その次の言葉は繋がない


繋げない





好きでいてくれてもいい


応えれはしないけど


だから少し寄り添ったら離れてほしい


複雑になってしまうから



きっと、本当に大切なものがあったとして、

自分から取りこぼしてるんだろうな


なんとなくは分かる


でも、気がする程度で、その大事さも度合いも分からない



流行りの歌は愛を語る、小洒落た台詞じみたフレーズ



僕にはラブソングが分からない





いつでも仕方なく


男の子みたいに独りでいる事が女は少ない


すぐにグループをつくり群れたがる


善意かもしれないけれど、独りでいるあたしを無理やりに輪に入れる


面倒臭いって何百回も思いながらも相槌をうって、作り笑いを浮かべる


くだらない女子の輪はくだらない男子の輪と混ざりたがる


35倍だるくなる


必要以上にその男どもがあたしを囲めば女からはやっかみを買うし、思うままの言葉や態度を出せばa感じが悪いって



ほっといてよそれなら


必要ない


カラオケで明らかにあたしを見ながら流行りのラブソングを熱唱する名前も2秒で忘れたチャラモブa


あたしにはラブソングが分からない





「....ちゃんは難しい子なんだねーっ。好きとか嫌いとか男とか別にどうでもいい系かな?男だったら惚れてるねっあたし!」


最初にあたしに声をかけたその女だけはなんの気にもしない様子でいつも声をかけてあたしを気にする


そんな調子だからこっちもなんだか無下に出来ず振り回される


10回遊びに誘って1回頷くか頷かないよーなやつにご苦労な事で


あたしの何を気に入ったんだか


とある日、地元の近所の友達と久しぶりに会うから着いてきて欲しいと珍しくいつもより食い下がってきた


悪い子じゃないし、実際少しはこんなあたしを気にしてくれてるこの子にネガティブな感情はない



渋々了承して、とある週末その子の地元へ行った


凡そ、なんで近所で付き合いが古いってだけでまだ連絡とってんの?みたいな男が来た


ほんとにこの子は根がいいんだなー


感心した



上京先の親友とあたしを紹介し、地元を巡った



あたしと違って無愛想ではないけどそいつはどっか欠けてる感じのやつだった


雰囲気で分かる



その子が地元でよく通ってたダイニングバーで3人で夕食を済ましてた最中だった



着信がなり、急用ができて少し抜けないといけないと申し訳なさそうに彼女は早足に店を出た



なるべく早く戻るから待っててと



沈黙が続く



「あいつがそんなに気にするってあんたも変わってんだな」


突然失礼なことを男は言い出した


「こっちの台詞でもあるけどね」


なんのツボかそいつは笑いだした



「急に地元に戻って来いって言われてあんたと引き合わせられて、なにがしたいんだかな」


「え、戻って来いって。。あんたこっちに居るわけじゃないんだ?」


お互い都内ということが分かった



なんでまた都内じゃなくて地元まで引っ張ってきたんだろうかあの子は



「さあね?どうしても合わせたい子がいるって言われて強引に親にまで連絡されて戻ってきたよ。レポートもあるし、バイトもあったのに。まあ、あいつに強く頼まれたら断れないし来たわけだけど」



なんとなく、察した



今までのタイプとは違う


あの子の中で、引き合わせたら何かあるんじゃないかって考えてくれてのことなんだろなと、勝手な想像だけど思った



「あたしもだよ。まああの子の強い頼みじゃ断りづらいし」



そこを機になんとなく取り留めない話が繋がった



お互い半分退屈そうに、彼女のしてくれた事を無駄にしないようと



「遅いなぁ」と彼がぽやいた時同時にLINEがなった



どうしてもちょっと戻れそうにない、ごめんと



こんな深夜に勘弁してよ


しかももう、閉店間際なのに


「どーすんのあんた?」


「あの子の実家泊まる予定だったんだけど」


「こんな片田舎ビジホもこの辺にゃないぜ」


沈黙が流れる


バーテンが会計伝票を持ってきて、店仕舞い



「はあ、、うち来るか?流石にてきとーにこんな辺鄙なとこに置いてはいさよならはどーもな」



心底仕方なさそうな言い方に


今迄の男との違いを感じた



「図々しく、そうさせてもらうわ。うろうくのも今から休むとこ探すのもダルいし」



コンビニで少しアルコールを買ってそいつの家にお邪魔する事になった



「わりーけど、実家で俺の部屋のベッドがそのままってだけで来客の布団とか無くて、俺の寝床で我慢してくれ」



こんな深夜に急に布団を何処かで調達して来いって用意させる非常識さまでは、流石のあたしもないから首を縦にふった



少し飲んで寝るまでの話で、お互い都内では割と近所で一人暮らし同士ということが分かった



けど、あの子がなんでこの流れを作ってこの男と2人にさせてのかは全く分からない


向こうも分かってないだろうけど


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