【第一章完結】地竜が見た島

斉木 明天

プロローグ

 昔々、巨大な島から離れた一つの島には、人間達が住んでいました。


 人々はその地に自分たちの文明を作り上げようと、皆で協力して文明を作っていきました。

 しかし、そんな人間達を良く思わない、地上に住めることを妬ましく思う魔物達がおりました。

 海に住まう魔物達は、自分たちだけが得をする人間達を思い知らせようと、陸に乗り込んできて、人を喰らい、やがてどんどん陸地を沈め、いくつもの島に分断してしまいました。


 人々は、自らの生きた土地を守ろうと、その島で抵抗を続けますが、それでも魔物達の手は止まりません。

 一つだった島が複数に別れ、いくつかの離島が沈み始めたとき。もう駄目だと人々は絶望しました。


 しかしその時、空から一筋の光が現れました。

 光は雲をかき分け、大きく広がり、分かれた雲から、真っ赤で巨大な竜がやってきました。

 竜は降り立った地に大きな穴を開け、それから島々を見て回り、最果ての北地にて、火の山を作り、天に帰っていきました。


 竜が火山を作ってから、魔物達はまるでその力に屈服したかのように、陸から海へ去っていきました。


 魔物達を祓った竜は、それ以上島が沈まないように、大地に力を与えました。


 それは、竜が人に生きていていいと認めた証。


 それは、人々が竜に敬意を払うようになった始まり。


 竜は、それから百年に一度、島々に降り立ち、それぞれの島々を見てわたり、陸地をさらに広げる儀を行うようになりました。


 それが、人々が今でも愛し、信じ続ける。地竜信仰の始まりでした。


 島々の人は、竜に認められるだけの生きがいをしようと、日々、この島々で竜からの恩恵を大事に育み続けています。




 しかし、今から14年前の事、竜は火山の島に姿を見せませんでした。

 我々は、竜に見放されたのだと、暗い声が島々を覆いました。


 そして竜が降り立つ筈だった14年前の年、ユレリカ島の沖合で、海上火災が起きました。

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