第21話
いつも通り学校に行き、下駄箱から白を基調とした、赤いリボンの学校専用の内履きを手にとって履いた。
「痛っ。」
履いた瞬間、足の裏に鋭い痛みが走る。
恐る恐る足裏を見てみると、白いソックスに金色の画鋲が刺さって少し血が染み出していた。
ふと、左を見るといつもの女子3人組が私を見てクスクスと笑っていた。私の視線に気づくと楽しそうに、走って何処かに行ってしまった。
私の頭にはまず疑問があった。
「何故、画鋲は針のほうがずっと上向きだったのだろう?」
足の画鋲をそのままに内履きの中敷きを触ってみるとかすかに粘り気を感じた。微かに白み掛かっていたので、いつも図工の授業で使ってる木工用ボンドでくっつけて、私が靴を履くために動かしても針がずっと上向きになるようにしていたのだ。
と構造に納得して、最近いじめも工夫がされてきたなと、彼女らに感心した。
「痛っ」
また、足に鋭い痛みが走り、けんけんで保健室に向かった。
「すいませーん」
と言いながら保健室のドアを開けると、保健室の先生の佐藤先生が待っていた。
「おはようございます九条さん。大丈夫ですか?」
少し焦った表情で、すぐに私の方に駆け寄ってくる。それはきっと、高校生一年生の一学期にして、10回も常に何かしらの怪我を追って保健室に来るからだろう。
「大丈夫です!ただ、足の裏に画鋲が刺さってしまって、、」
「大丈夫じゃないじゃないですか!すぐに見せてください。」
そう言って、佐藤先生が熱心に治療してくれた。
幸い、傷はそれほど深く無く、画鋲を抜いて消毒してテーピングをしてもらった。
消毒駅はめちゃくちゃ染みた。
「痛ったー。」
「これでとりあえずは大丈夫です!」
と佐藤先生は元気溌剌に伝えてくれた。
「何があったんですか?」
と矢継ぎ早に言ってきた。でも、その声はとても、真剣に心配していた。
「友達とマキビシゲームしてて、刺さってしまって。」
「本当は?」と鋭く綺麗な眼で佐姉は私に問い詰めてきた。
「いやー、靴を履くのが嫌で、ソックスのまま廊下を走っていたら、意外に滑れることが発覚して、ほら私って自由な女じゃないですか?それで、たまたま落ちていた画鋲ふんじゃって、、、」などと意味不明な理由をいいながら後ろ向きに後ずさりして、保険室の扉を開けて、走った。
後ろから佐姉が、「次は絶対逃しませんからね!」と、怒号が飛んで来た。
「処置してくれてありがとね佐姉!」
そう返して、私は教室に向かった。
教室の扉を開けた瞬間に落ちてくる黒板消しを華麗にキャッチし、呆気に取られた例の女三人組に近付いて
「これはもう知ってる。」
と言って、その黒板消しでそのうちの一人の頬にパンパンぶつけてあげた。
「そのファンデ似合ってるよ。」
そうご丁寧に伝えてあげると、その白いファンデーションよりも紅潮した頬とともに赤くなった目で私を睨みつけて、教室から出ていった。
1時間目の数学の授業が始まった。
例の女三人組が私の教科書を盗んで何処かにやってしまったので、私はいつも隣の席のシオンちゃんに見せてもらってる。
シオンはちっちゃくて声が、か細くて高い特徴がある。入学初日の挨拶で、「声かわいいね!アニメみたい!」と言ったら、気まずそうに「ありがとね」とその可愛い声で言うもんだから、思わず抱きしめてしまった。可愛いから仕方ないね!私女だし、無問題だよね!
「シオンちゃん、今日も教科書見せてくれない?」そう私が尋ねると、コクッと頷いて机をくっつけて見せてくれる。
入学初日の挨拶のことばと先の「ありがとね」以外の言葉を聞かなかった。
シオンちゃんはとてもシャイなんだ、きっと中学で声をイジられたりしたんだろうなと勝手に推測しながら、このぎこち無くも、優しいシオンとの関係が好きだ。
「九条さんは強いね。」
「そうかな?」
「うん。カッコイイ。見てて気持ちがいい。」
「ありがとね」
このこのー、可愛い奴めと言いながら頭を撫でてぐるぐる回した。
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