第9話 行き場のない衝動

 今日は、ゴミを2人殺した。けど、前のような高揚感はない。


 いつからだろう。人を殺してもなにも感じなくなったのは。


 殺人さえ、僕の心の空虚を満たしてくれないなら、次に僕は何を殺せばいいんだろう。


 僕が彼女と出会った時は、そんなとき。


 降りしきる雨の中、橋の下、午後6時。


「大丈夫?」



「助けて」


僕はそういってナイフを持ったまま、彼女の胸に飛び込んだ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る