第3話 白いバラを君に

男は一輪の白いバラを、もう目覚めない彼女の顔に添える。



 「前に君が尋ねただろう?私に似合う花を選んでと。だから、君に似合うと思って持ってたんだ。喜んでくれたらうれしい。」

そう彼は言った。


 返事はない。


 けれど、その時の彼には一瞬、彼女が少し笑ったように思えた。


 彼はダムが決壊したかのように、棺の前で泣き崩れた。


 もっと、一緒にいたかったなぁ。







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