016_草花が歓迎するとき

「朝」「画像」「穏やかな件」で。


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 ああ、もう朝か。

 私は甘く芳しい香りに包まれていた。PCのモニターには、花の画像で一杯だ。コスモス。満開の土手の写真である。

 まさか。

 私は一つの仮定に至ってガバリと目が覚める。

 まさかこの香り、モニターから漂って?


 モニターの中のコスモスが揺れた気がした。

 そう、そんなバカなである。

 ありえない。モニターの中から花の香りがするなど。

 私は鼻を擦る。

 でも、未だに花の香りがする……私は首を振り、開かれた窓の先に揺れる赤紫の花を見つける。

 そう。香りの元はすぐそこだ。

 庭のコスモス。

 その花が我先にと、家主の私を歓迎してくれていたのだ。


 私は窓を全開にして、深呼吸を一つ。

 ほら、風が小鳥の声と、草花、そして土の香りを私に届けてくれていたのである。

 朝露に光が輝いた。

 ああ、なんと麗しい朝だろう。

 

 私は携帯端末を取ると。


 パチリ。


 私はシャッター音とともに、今朝の涼やかな庭を画像として切り取ったのだった。


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