第12話 依頼

俺は依頼が貼ってあるボードを見ながら考える。依頼といっても報酬の高さにも違いがあるし、俺が知ってる知識と掛け合わせても危険度にも差がある。エリィはどんな依頼がいいと思う?


『マスターは午後までに城に帰った方がいいと思います。現在の時刻は大体10時。12時までに帰らないと昼食が無駄になってしまうので、約2時間で達成出来る依頼ですね』


そうか。という方まだ一時間しかたってなかったのか。あのおっさんとの会話が濃すぎて時間の感覚がおかしかったな。残念ながら俺は知識不足だ。エリィのおすすめを教えてくれ。


『私は[ウルフの毛皮の採取]と[ゴブリンのコロニーの殲滅]と[エルヴィス山脈の雪解け水の採取]ですね』


理由を聞いてもいいか?


『はい、[ウルフの毛皮の採取]でマスターと私のの連携や動きの確認をします。[ゴブリンのコロニーの殲滅]でレベルを上げます。[エルヴィス山脈の雪解け水の採取]はマスターが創ればいいと思います』


確かにそうだな。報酬は金貨10枚と破格だからな。ずっと創り出した金貨を使ってたんだ。そろそろ稼がないとな。塵も積もれば山となると言うし、創った金貨を使ってて金の価値が暴落したら困るのは俺も含めて全員だ。エリィに勧められた依頼をボードから剥がしてエリザさんに持っておく


「エリザさん、これをお願いします」


「はい、って3つですか?」


「ええ、そうですが。もしかして何か規約に触れるようなことをしました?」


「いえ、そういう訳ではありません。登録したての新人さんなら1つが普通だったので」


そう言いながらエリザさんは仕事を進める。こういう時にパソコンがあれば様になったんだろうけどなぁ。いや、作るか?初代勇者だってスマホの劣化品ができたんだ。俺だってやろうと思えばパソコンの劣化版くらい作れるんじゃないか?


「ではこの3つを受理します」


そう言って俺の方に視線を向けるエリザさん。その目は何か思い詰めているようだ。


「私はリューヤさんの実力を把握していません。なので同じ登録したての新人さんと同じように見てしまいます。ですがリューヤさん程思慮深い方が自分の実力を測り損なうことは無いと思います。ですが、もし何か危険なことが、予想外のことが起きたら───逃げてください。依頼は失敗してもお金を払えば解決できます。ですが怪我は一生治らないこともあります。ですので気をつけてください」


そう言ってエリザさんは見ている側が嫌になるようなを浮かべ俺を送り出そうとする。


「······確かに俺はエリザさんから見たらただの新人冒険者だとおもいます。ですが幾つもの修羅場をくぐり抜けてきたという経験も自負もあります。達成して帰って来ます」


そうカッコつけて俺は冒険者ギルドを出る













うわわわわわわあああああああ!!!!なんだよアレ「絶対に帰ってきますから(。 ・`ω・´) キラン☆」とか最悪だああああああ!!!


『マスター落ち着いてください。ウルフの生存圏に入っています』


俺はその言葉を聞いて心を落ち着かせる。落ち着かないが、その話は後に持ち越しだ。俺は気配察知等のスキルがないので、魔力支配で応用する。


神様が言っていた通り魔力とはどこにでもある。それこそ空気中にだってあるし、人の体内にもある。そういえば魔力が質量を持ってるかどうかも聞いておけばよかったな。


『マスター、遠巻きにですがウルフが見ています』


そうか。ならそろそろ出した方がいいな。俺はアイテムボックスからおっさんに貰った150万ペルの武器を取り出す。そういや後で名前をつけないとな。


『マスター、失礼ですが寝っ転がってくれませんか?』


寝っ転がればいいのか?俺は何も疑わずにエリィの言葉に従う。すると地面に耳を着いてるからかその足音が明確に聞こえた。


『鎌、奥の個体を斬る。剣は鎌のサポート。盾はマスターを守って』


エリィの指示と共に動き出す3つの浮遊物体。それぞれが命令された通りに動く。なるほどな命令をするまでじゃなくてしたら戻ってくるのか。確かにこれだと使い勝手が悪い。だがエリィはそれを逆手にとって常に命令し続けている。今更だけどこれってぶっつけ本番だよな?俺寝っ転がってて下手したら死んでたな。


『マスター、討伐完了です』


了解。それで何匹居た?


『4匹です。依頼達成には毛皮が10枚必要なので後6匹ですね』


そうか。エリィに解体を任せてもいいか?


『分かりました。その間にマスターは6匹狩るのですね?』


ああ、やっぱり俺も倒さないとレベル上がらないからな。あれ?さっきのエリィの倒したのは誰のになるんだ?


『何言ってるのですか?マスターの武器でマスターのスキルが倒したのですからマスターが倒したに決まってますよ』


え、てことはレベルが上がってるのか。


──────────


【名前 皇 柳也(リューヤ)】

【種族 人族ヒューマン

【年齢 17歳】

【職業 勇者Lv.6】

魔力:5010000

攻撃力:10200

防御力:10200

素早さ:10200

魔法攻撃力:10200

魔法防御力:10200

魅力:-

運:-


【転移前取得スキル】

近接格闘術Lv.MAX(全てまとめました)

武器格闘術Lv.MAX(全てまとめました)

瞬間記憶術Lv.MAX(全てまとめました)

精神全耐性Lv.MAX(全てまとめました)

全知思考術Lv.MAX(全てまとめたした)

王者の仕草Lv.MAX(全てまとめました)


【スキル】

聖剣術Lv.1

四属性魔法Lv.1

成長率100倍Lv.2

鑑定Lv.2

アイテムボックスLv.2

魔力創造Lv.-

自由転職Lv.-

指南術Lv.MAX

魔力支配Lv.MAX


──────────


うえええ!何だこの数値は!エリィ、解説!


『ステータスはレベルが1上がるごとに自分の初期ステータスの10分の1が加算されます。そして普通の勇者は成長率5倍なので2分の1のステータスが加算され、特別な4人には10倍なので自分のステータスが加算されます。そして100倍を持っているマスターは自分の初期ステータスの10倍の数値が加算されます。空がレベル6なので5回加算された結果ですね』


なぁ、レベルってこんなに上がりやすいのか?


『いえ、実は異世界から来た勇者はこの世界に馴染めていないため成長率増加のスキルを持っていたとしてもレベルに関しては普通の人よりも遅いです。ですが成長率増加のスキルがなかったらさらに遅いですが。ですが唐突に世界に呼び出して魔王を討伐させようとするのならばレベルだけではなくスキルや技術も必要です。なので成長率増加はに働きます』


なるほどね。でも100倍となると普通の人よりも早くなると。いやぁ、神様には感謝、感謝〜♪自分が強い分には全然OKだからなぁ、でもいきなりこんなに数値が上がって調整できないんじゃないか?


『······その通りです』


俺は近くにあった木を殴ってみる


───ズドドドドドオオオオオオン


「『······』」


ちなみに擬音の状態は俺が木を殴ったらその勢いで木が壊れて、そのまま他の気を巻き込んで行った音だ。今も砂埃が蔓延してる。


俺は次に木を叩く。


───コンコン


「あれ?なんでだ?」


『マスター、神様からです。繋ぎます』


え、ええ?


『柳也様、この度こちらのミスで迷惑をかけてしまいすいませんでした』


いやいやいや、こんな強いものだと思ってなくて、それを頼んだ俺が悪かったので。気にしないでください。


『エリィさんに教えて貰っているかは分かりませんが、柳也様のいる世界の一般の兵士だとステータスの合計は3000。騎士ならば5000。騎士団長となると1万を超える人もいます。それなのに柳也様はレベル6なのにも関わらずひとつの項目だけで1万を超えています』


そう聞くと俺のステータスはおかしいな。騎士団長のルベアにレベル1のときで勝ったのだ。この後の展開が容易に予想が着く。


『それで柳也様になのですが、魔王討伐の旅から外れていただけませんか?』



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