第8話 初訓練

『······ター、···スター、マスター!起きてください!』


「うわっ!」


───ドスン!


突然頭の中に響く謎の声によって飛び起きたものの、勢い余ってベッドから落ちてしまった。


「いてて、何の声だ?」


『マスターの補助をするナビゲーターです!』


「そういえば神様に頼んだな。あれってガチだったのか。名前はあるか?」


『ありません。なのでマスターに名前をつけて欲しいです!』


「了解。コンセプトを教えてくれ」


「可愛い系がいいです!」


「分かった。ナビとかナヴィとかナギサはありふれてるもんな。可愛い系、可愛い系っと。よし、エリィってのはどうだ?」


『エリィ···エリィですね!とてもいい名前です!私の名前はエリィです!』


「よろしくなエリィ。それで今の時刻は?」


『今は7時です』


「了解。エリィは何が出来るんだ?」


『私は神様の劣化版だと考えてください。私の使える権利は世界の情報へのアクセスです。ですが神様が指定した[禁忌目録]にアクセスすることは出来ません』


「[禁忌目録]?」


『はい、[禁忌目録]は名前の通り神であっても迂闊に使ってはならない情報のことです。マスターの記憶の調整も[禁忌目録]の1つです』


あれほどのご褒美が対価として用意されてたんだから、どれほどなのかは容易に想像がつくな。


まだ時間はあるし、ステータス画面でも見るか。神様が色々調整してくれたみたいだし。



──────────


【名前 皇 柳也(リューヤ)】

【種族 人族ヒューマン

【年齢 17歳】

【職業 勇者Lv.1】

魔力:10000

攻撃力:200

防御力:200

素早さ:200

魔法攻撃力:200

魔法防御力:200

魅力:-

運:-


【転移前取得スキル】

近接格闘術Lv.MAX(全てまとめました)

武器格闘術Lv.MAX(全てまとめました)

瞬間記憶術Lv.MAX(全てまとめました)

精神全耐性Lv.MAX(全てまとめました)

全知思考術Lv.MAX(全てまとめたした)

王者の仕草Lv.MAX(全てまとめました)


【スキル】

聖剣術Lv.1

四属性魔法Lv.1

成長率100倍Lv.1

鑑定Lv.1

アイテムボックスLv.1

魔力創造Lv.-

自由転職Lv.-

指南術Lv.MAX

魔力支配Lv.MAX


──────────


おお、中々にぶっ壊れてんな。魔力はが1万って心強いな。とりあえず何か作ってみるか。


「三色ボールペン」


俺がそう念じると手の上にボールペンが生まれた。魔力の消費はたったの10。めっちゃお得だな。こんなのでもうろうと思えばかなりの値段で売ることが出来る。後は紙か。紙はコピー用紙をイメージして、量もそれくらいだな。


「コピー用紙」


すると両手の上にコピー用紙が現れる。そして魔力の消費は驚異の10。


「すごいな。これだけあれば十分金儲けに使える」


俺は頭の中でゲスな妄想をする。


「グッヘヘヘ」


「失礼します」


「っ!」


「朝食の準備が出来ました。起きていらっしゃいますか?」


「あ、ああ、起きてる。ちょっと待ってくれ。着替えるから」


俺は新しく制服を作り出して着る。こう見えて意外と綺麗好きなんだ。


俺は扉を開けてエミィに挨拶をする。


「おはようエミィ」


「············」


「どうした?」


「······1度部屋に戻って鏡を見ればわかると思います」


「ん?ああ、分かった」


俺は部屋に戻り鏡を見る


「············」


俺は絶句した。俺の愛してやまなかった、大好きな真っ黒な髪色が、真っ白になっているのだ!


色素が無くなったかのような白にさすがの俺も絶句する。な、何だこれは。神のイタズラか?


『違います。これは異世界に適応するために体が適応した際の影響で髪の色が変わります。後、言い忘れてましたが言わなくとも会話はできます』


サンキューな。他のみんなもこうなんだろ?


『はい、色は人によって違うと思いますが、髪の色は変わると思います』


「はぁぁ。まぁしょうがない。みんな同じならいっか。エミィ、案内頼むよ」


「はい」


俺はエミィに食堂まで案内される。食堂では予想通りパニックに陥っていた。そりゃ朝起きて鏡見たら髪の色が変わってるんだもんな。そんな中王様が


「髪の色で黒の方が珍しい。この世界に馴染めるようにイズウェル様が調整してくだかったのだ。過去の勇者もそのようになったらしい。心配することは無い。それより今日から勇者様方は訓練がある。きちんと朝食を食べこれからの訓練に備えて欲しい」


そう言って各々食べ始める。そういやいただきますの文化はないのか?俺は今日のご飯にも鑑定を使う。


【ロックバードのスープ】

ロックバードの肉が使われたスープ


【黒パン】

硬いパン


『マスター、鑑定のレベルが上がりました』


もう上がったのか?速くない?


『マスターは成長率100倍がついてますから』


そうだったな。成長率10倍の時にステータス1回、食べ物2回見て、100倍の時にステータス1回、料理2回か。だから普通だと330回鑑定しないとダメなのか。面倒だな。


この容量なら思ったよりスキルレベルが早く上がりそうだな。













俺ら4人は王様の命令で正規の騎士団との訓練に参加しなきゃならなくなった。でも強くなるためだと思えば色々と楽だ。


「今日から新しく訓練に参加する4人を紹介する。名前と職業だけでいいぞ」


「昨日勇者として召喚された柳也だ。職業は勇者。よろしく」


「名前は蓮で職業は剣聖」


「な、名前は凛です。しょ、職業は聖女です」


「名前は唯。職業は賢者」


俺らが名乗るとヒソヒソと声が聞こえる。


「すげぇな、あの4人。全員上級職だぜ?」


「ああ、あの4人は特別だから陛下もこっちで訓練させたのか?」


「静かにしろ!」


そこに響く団長の声。


「ちなみにだが、リューヤは私と戦って勝っている。私も本気を出さなかったが、私に勝てるくらいは強い」


そう、この言葉で分かったと思うが、俺らは竜宮騎士団の練習に参加している。そして俺らを紹介してくれたのは団長のルベア・リザルトだ。


「陛下からいつもの練習でいいと言われている。まずは闘技場の周りを100周だ!」


そして全員で並びスタートする様はマラソン大会のよう。人数が人数なだけに持久走とは思えない。闘技場もでかいし、1周2、3キロはありそう。それを100周って······ステータス的に超人が多いからこれが妥当なのか?


てかみんな鎧来て走ってるのすごいな。流石栄誉ある竜宮騎士団だな。


「よし、俺らも走るか」


「ああ、そうだな!負けてられるかよ!」


そう言って蓮は先頭集団に追いつくために猛ダッシュ。絶対後で体力なくなるだろ。


「このこれを100周って地獄ね」


「は、はい。頑張ります」


「んじゃ、各々頑張ろうな。俺も負けるのは癪だし蓮に追いつくから」


そうして俺らはステータスの力もあってかどうにか100週走り切ったのだった。


「はぁ、はぁ、はぁ、もう疲れたぁ!」


「お前はペース考えないで走るからだろ。ふぅ」


「なんで柳也はそこまで疲れてないのよ」


「ま、リアルチートだし?」


「各々水分補給後素振りを開始する!」


ルベアからそう声がかかり、水筒を取り出す。そんなものまであるのか。意外と文明進んでるんだな。


「水筒貰ってるか?」


「「「······貰ってない」」」


「しゃあないな」


俺は水筒を4つ作り、その中に水を入れる。


「ほいっと」


「おお、サンキュー」


「ありがとう。だけど、いつ貰ってたの?」


「ここに来る前にな」


「あ、ありがとうございます」


「気にすんなって」


「水分補給が済んだら、リューヤはこっちに来い、それ以外は闘技場の外にいろ」


何故か俺だけお呼ばれされてしまった。何か問題になることをしただろうか。


「どうしたんですか?」


「いや、ただリューヤと本気の状態で戦ってみたいと思ってな。幸いにもここにはベテランの回復魔法の使い手がいるから、たとえ怪我をしても問題ないからな」


「まぁ、いいけど」


「よし、なら今からやるぞ。今から私とリューヤで模擬戦をする。武器は木剣だ。勇者の実力を見て、これからの戦いに活かしてくれ」


そして俺は木剣を渡されて、闘技場の中心から少し離れてルベアと向かい合う。


「ああ、この空気。私が好きな空気だ」


「奇遇だな。俺も戦うのが好きなんだ」


「おお!柳也、やっちまえ!」


「柳也、負けないで!」


「柳也さん、頑張ってください!」


「団長!」


「リューヤも実力見せてくれよ!」


数々の応援の中、審判役を買ってでた騎士団メンバーが合図をする。


「ルールとしては魔法は禁止、体術はあり。私が戦闘不能とみなす、または降参宣言により試合は終了とします。よろしいですね?」


「勿論だ」


「ああ」


「では竜宮騎士団団長ルベア・リザルトVS勇者リューヤの試合を始める。それでは······始めっ!」


俺とルベアの戦いの火蓋が切って落とされたのだった



















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