この結末を変えてやる

ミハ

私は転生した

なぜそう言えるのか

もう、転生して5年も経つからだ

それも転生したら先は私が愛読していた小説の中

その小説の名は『イソトマ』

愛を求め狂う皇子達の皇位継承争いのお話

この小説は悪役が主人公にだってなる小説だ

ただ決まってみんな哀れな最後を迎える

そんな小説のユリアス・レイラ・ウィティリアに転生した

彼女は言ってしまえばモブ

第一巻では第1皇子が第2皇子に殺されそうになったのを庇い死んだ

第二巻では第１皇子の怒りに触れ、殺されてしまう

どの死に方もあまりにも残酷。まるでゴミのような扱い方だった

ここまで追いかけても捨てられる彼女は私によく似ている

でも私は言える。恐らくユリアスのような展開にはならない

私は何度も前世で裏切られてきた。親には暴力を与えられ、いつも完璧にこなし評価を得ようと努力した私は結局、同僚の嘘の供述によって会社をクビになった

仕舞いには恋人によって生命保険金のために殺されてしまった

努力しても愛想良くしても切り捨てられる私にとって愛など嘘偽りの物。信じないし、こんなものに、もう愛に振り回されたりなどしない

例えどんなことがあろうとも愛は信じない

前世に心残りがあるとすれば、それはもう一度やり直したいという気持ちだけ

けど、もうやり直すことはできない

でも私と似たような境遇の彼らがいる

愛を手に入れるために何でもする彼らをこの束縛の糸から解放してやることはできる

まだ彼らが助かる道は残さるている

それが前世の私の『救済』

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