競輪の神様と非実在の競輪予想師
鉄弾
プロローグ
平日の
ビールが
今日はシフトの都合で仕事はお休み。みんなが働いているときに飲むビールは格別だと思いながら無人投票機へと歩いていた。すると、足がもつれたアリサ。彼女は老紳士とぶつかってしまう。
「ひゃっ!」
思わず声をあげたアリサ。ぶつかった拍子にビールが老紳士のスーツを汚してしまう。
「あっ!ごめんなしゃい・・・」
「おやおや、困ったわい」と、老紳士はわかり易く困った顔をした。
「すいましぇん」
持っていたハンカチで老紳士のスーツを拭こうとするアリサ。しかし、彼女は思った。なぜ、こんな品の良い老紳士が競輪場にいるのだろうか。
老人が競輪場にいるのは、
「おじいちゃんは一人ですか?」
物珍しさと、ビールの酔いで思ったことをストレートに尋ねるアリサ。
「おじいちゃんとな?失礼な小娘だな」
どうやら余計なことを言ってしまったようで、老紳士は眉を
「クリーニング代はお出ししますので・・・」
「そういうことではないわい。全く、よい身分じゃのう。こんな
老紳士のお説教に少しムッとするアリサ。非はこちらにあるが、平日の昼間からビールを飲んでいるのは関係ない。こっちはしっかりと仕事がお休みで来ているのだ。
「そんなの関係ないでしょう?そもそも、おじいちゃんは何でここにいるの?競輪のことを知っているの?」
老紳士の品の良さが、
「何を偉そうに!私は競輪の神様じゃ」
「ふーん。そうですか、はいはい」
ムキになる老紳士の言葉をあしらうアリサ。競輪場に来れば自称・予想の神様は売る程いる。過去にも、そんなことを言うおじいちゃんやオジサン達を沢山見ていた。
「生意気な小娘め!私の力をみせてやるわい!」
「はいはい。そうですか」
老紳士の態度に、だんだんと申し訳ないという気持ちが薄れてくるアリサ。
「なら、いい。覚悟しろ。魔法使いの小娘!」
「えっ!」
老紳士の一言に酔いが醒めたアリサ。次の瞬間、彼女は目の眩むような光に包まれた。
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