第一章 禁断の魔道士(17)

「へぇ~私…セントワーム魔道士学校にかよっているよ。じゃあ先輩なんだ……」


「なら先輩をうやまい敬語をつかえ!」


「何を言ってるの。海の上では誰もが平等。それに私はこの船の船長なんだから、敬語をつかえというのならセルティガの方がつかうべきでしょ?」


「…………。海の上では誰もが平等、素晴らしい言葉だな」


「それで、その伝説の男とやらのフルネームは? 伝わっているか確かめてあげる」


「俺のか? 俺の名はセルティガ=オルフェ」


ティアヌは口もとに手を押し当てた。


「そ、そんな名前……」


セルティガは身をのりだした。


「やはり俺ほどの男の名は、まだ伝説として伝えられているのか!?」


「ぜ~んぜぇ~ん聞いたこともない」


がっくり……ガタガターッと椅子からくずれおちる。


「あのなぁ~」


「さっきのお返し!」


セイラは余裕綽綽(しゃくしゃく)として微笑をうかべチクリと物申す。


「二人ともすっかり打ち解けちゃって」


するとティアヌとセルティガの絶叫がかさなった。


「ありえない!」

「ありえん!」


ハッとしてたがいの顔を見あった。


「ちょっと! 真似しないでよ、おバカがうつるじゃない」


「アホ! 誰がお前の真似なんか好きこのんでするんだ」


「ほらぁ、息もピッタリ」


セイラのこの一言で我にかえる。


バカバカしくなった。


「おバカの相手は疲れた」


「おぃ、まさかそのおバカって俺のことじゃないだろうな?」


「ご想像におまかせ♪」


他にそのおバカに当てはまりそうな人物がいない……とさとってからのセルティガはさすがだった。眉間にシワをよせ沈黙にはいる。


゛………か、勝った!………゛


「ところでセイラさん、セイラさんのフルネームをうかがってなかった。契約時にはバタバタしていてあいさつもそこそこだったし」


「私? 私の名前はセイラ=カスバート、ただのセイラでいいわ。それと敬語も遠慮しておく。

それより自己紹介も終わったみたいだし、そろそろ本題にはいらなぃ~?」


「それもそうね。魔法にも二種類あるというのは、人間があみだした魔法と、精霊…つまり大神官にさずけた魔法の二通りがある」


「な、俺が唯一つかえる火竜玉は、精霊がさずけた方の魔法なのか?」


「ち・が・う! あれは人間があみだした方!」


やはり火竜玉しかつかえなかったのか!!


「アンタ……恥ずかしくないわけぇ?」


「全然」


「おバカはほうっておいて、話をもどしますよ」


「おぃ!」




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