新しく雇ったのは…

 三人で黙々と朝食を食べる。以前までは私がよく話しかけていたが、今は何も話したくない。早くこの時間が終わればいい。

 そう思っていたけど、父から予想外、いや予想通りか。そんな言葉が発せられる。


「シェリアと関わるのはやめなさい」


「……どうして…ですか…お姉様もお父さんの娘でしょう!!」


「違う!あれは義務で作らされた子供だ!俺の意思はない。俺の娘はシアだけだ!わかってくれ!」


「……」


 気持ち悪い。そんなこと、わかりたくもない。義務?例えそうだとして、お姉様を無視する理由になるとでも!?

 

 ありえない。どうしてこんな……


「お願い、シア。わかってあげて?お父さんも大変だったけど、私たちを選んでくれたのよ?」


「そんなこと知らない!ただ、浮気してただけじゃない!それに、お姉様のことを全く見ようともしない!お姉様だって!こんな…こんな…」


 こんな人たちと一緒に居たくないに決まってる。


「もういい!部屋に戻る!」


「シア!」

 

 父が私の名前を呼ぶが、知らない。今日はもう話したくない。


 部屋に駆け込もうとして廊下を走っていると、お姉様を見つける。だけど、それは私の部屋の前ではなくて…


「お姉さ…ま」


「あれ?思ったより早く帰って来ちゃったかー」


 何かをはぐらかすように、明るく話すお姉様の後ろの部屋は物置と変わらないような部屋だった。ただの物置なら私も驚かない。

 けれど、そこは昨日、父に近づくなと言われていた部屋でなければ…だ。


「…お姉様…だってこの部屋は…」


「えーと、アリシア、これにはね…」


 お姉様が何かを話そうとした時に、後ろから新しく入ってきた妙齢の侍女が話しかけてきた。


「お嬢さ、シェリア、準備ができましたか?」


「お姉様を名前で呼ぶのはやめなさい!」


 この人、父が連れてきた…名前は確か……


「マリア、アリシアの前では演技は大丈夫よ。それに、アリシアも私のことで怒ってくれてありがとう。彼女は味方よ」


「味方…?」


「申し訳ありません、お嬢様。それとアリシア様。どこであの男に伝わるかわからないもので、あのような言葉を使ってしまいました」


「えっ、あっ!私こそごめんなさい」


 たぶん、この人がアンが言っていたお姉様のことを考えてくれる人だったんだ。でも…


「あなたは父が初めに連れてきてた人…ですよね?」


 父はこの家に来る前に数人、侍女や執事、料理人を連れてきており、来たすぐにもともと働いていた人を解雇していった。だから、アンが説得したのだと思っていたのだけど…


「はい。以前、お嬢様が奥様に使用人が解雇される話をされていらしゃったので、あの男に顔がバレていないものは真っ先にこの家を出ておいて、あの男に雇われるようにしたのです。なので、昨日新しく入ってきた使用人は皆、あの男に命令されていますが、お嬢様のことを無視するような人はいません」


 それはよかった。それに、さすがお姉様とそのお母様ですね。父がこんな馬鹿な命令をしてもそれほど問題はないということですね。

 それに、そのおかげでお姉様に害を与えるような人は私たちだけなのですね。


 父はこの家の誰にも慕われていない。そんな中で、父はいつまでこんなくだらないことをするんでしょうね。

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