反省文 作:俗物

 日々、無聊をかこつ。それは大学四年を迎えた今も同じである。そんな自分はまたも偉そうに世情を憂う。本当はそれが現実逃避にしかならないこと、つまりは卒論から目を背けようとしているだけだってことはわかっているので許してほしい。しかしまあ、かの炳五博士だって大戦の最中にも好き勝手文字を連ねていたと思えば許されるであろう。それで苦労はしたらしいけど。

 とはいえ、こう改まって何かを書こうと思っても難しい。もう自分がここに文章を載せる回数だって数えるほどしかないといえど、未だにそれが簡単になることはない。安産なんてものはなく、難産のものばかり、下手したら流産したことだってある。

 これは書き手になった人なら味わったことがある事象だし、今味わってなくてもいずれは卒論だ、なんだって味わうことになるだろう。こういう時には現実逃避をしたくなる。てなわけで、私は現実逃避をしてみることにした。昨今の世情の流行を見てみれば、競馬が良いらしい。ん、それは二次元であって三次元じゃない、などという声も聞こえてきそうだが、画面の中にお金を入れても潤うのはゲーム会社だけならば、今を生きる馬たちにお金を貢ぐ方がよっぽど建設的じゃあるまいか。

 さて、そんなわけでスタートしたローズステークス。私は負けた。完膚なきまでに負けた。元来、穴党を自称している私だが、よりにもよって単穴の逃げ馬を一頭買い目から外してしまった。事ここに至っては、私に残された手段は闇のデュエルだか、エスポワール号に乗り込むだか、ライアーゲームに参加するくらいである。いや、もうひとつだけ現実逃避の方法がある。それはこの原稿に向き合うことだ。

 てなわけで、何かを書こうと思っていたのだが、時刻を見ればとっくに締め切り日の九月十九日の深夜四十四時を過ぎてしまっている。このままでは、鬼よりも怖い怖い編集達に首を切られてしまう。私は下弦の鬼以下の存在なのだから、加減してほしいものだ。

とりあえず、今はこの短文を出して、校閲後に何かを書くこととしよう。

 

 ああ、哀れな俗物は首を切られてしまった。でも、反転術式で復活するのでセーフである。てなわけで、もう少し雑文を連ねることとしてみる。この、二週間か三週間のうちにショッキングな出来事は何個もあるわけだが、何を記しておこうか。こうやって文字に書き残すことは自分自身の為の備忘録とも言える。ただ、こうやってあまり自分語りばかりしているとどこかのラーメン評論家の炎上を再現しかねないので謹みたい。だが、よく考えればそもそもこうやって田舎の大学で物を書き散らすということはそうなる確率も低いであろう。まあ、あの森鷗外は年末年始に九州の新聞でギャーギャー吠えたら、即座に中央文壇で燃やされたのだけれども。まるで、小さな鍵垢で吠えたらスクショを掲示板に晒されるきゅーだいせいの皆様のようだ。

 さて、ショッキングな出来事であるが、鬼みたいな編集さんに(呪詛師かもしれない)、この雑文のタイトルが「反省文」と記されたことである。私は激怒した。必ず、かの暴虐なる編集を倒さねばならないと決意した。しかし、心の中のセリヌンティウスが囁くには、「そもそも締め切り守らないほうが悪い。反省しろ」などという。困ったものだが、この際、反省できることを反省してみようと思う。

 まず、第一に反省しなければならないことは、競馬だ。最近の重賞をことごとく外している。セントウル記念、セントライト記念、神戸新聞杯、スプリンターズステークス、そして凱旋門賞。これが、まったく当たらないのだ。残り2ハロンから来てほしくない馬が来る。これはまったくもって反省しなければならないだろう。そう、○○息子(検閲により削除)である。あの良い馬もらっといて、最後に追い込みもかけずにポツンとは何なのだ。よっぽど、ダ○スタのコンピューターのほうが良い走りをする。

 第二に反省しなければならないことは、四年生なら耳が痛い痛いの卒論だ。今年は暦が最悪のせいで提出が早い。どうせコロナでネット提出なら週末跨がせてほしい。こちとら、まだ史料が足りないのだ。先行研究はどんどん増えるのだ。はあ、これ以上書くと自分だけでなく周辺にも大いにダメージが入る事であるから、抑えておくこととしよう。四年生諸氏(四+n年生かもしれないが)におかれましては、まさか、今テーマを決めたとか言わないでしょう?

 第三に反省しなければならないことは、お酒だ。この前久々に痛飲したら通院しなきゃいけなくなりそうであった。もっと私の体にはポテンシャルを発揮していただきたいと思う。ビール、もつ鍋? それくらいで泣きごとを言うんじゃあないよ。俺はね、風が怖くなるのは嫌なんだ。風が吹くだけで、アレは痛いのである。「人の痛みをわかる人になりなさい」なんて小学校で教えるくらいならさっさと痛風になるか、箪笥の角に小指をぶつけてしまって体で覚えやがれ。俺は先日、少し発作気味の小指を箪笥の角にぶつけて内出血起こすし絶叫した。

 第四に反省しなければならないことは、去年の初冬号で書いた雑文についてである。ここまで、基本的には他者に責任転嫁してしまった(○○○○○○○○○の騎手はあいつが悪い)が、これについては自身で反省しなければならない。昨年私は警固公園のハロウィンに集まってるような連中を警固公園の地下に巣食う鬼たちを退治する「低俗で惨めで空しいことを繰り返すだけの、アホの呼吸を使う馬鹿柱」などと称したがあれは間違いであった。警固公園と言えば数多くの怨念が籠もっているであろう場所である。ナンパするアホにされようとするアホ、AVの勧誘と思ったらマルチ商法の勧誘。喫煙所に巣食う、会社の窓際から追い出されたのかパチンコ屋で負けて来たのかよくわからない呪霊ども。あ、これは呪霊を意味するのではなく、呪霊みたいな目をしていたという意味の比喩表現に過ぎない。ああ、これは後で述べようと思ったが、やはり比喩表現とかは読者に伝わらないと意味がない。読み手のことを考えない書き手による創作なんてものは、姪浜駅前で自分が神だと叫んで騒いでいるおっさんと変わらんのよ。まあ、この比喩も適切かは知らん。ああ、このあと比喩表現には注記をつけることとする。

 閑話休題、多少吠えすぎたがこれは後に回す(そうしないと作者の血圧に悪い)ので、警固公園についての考察を深めよう。やはり、警固公園には怨念が籠もっている。おそらく、隣のファミレスでずっと屯してる不良どもは、警固公園の怨念から逃れてそこにいるのだ。決してポリ公に日和ったり、どうでもいいような陰キャに絡むためにファミレスにいるわけじゃないだろう。決して補導からタイムリープをしたわけじゃあるまい。

 そして、今は疫病の前に警固公園が緑の柵で覆われ、以前のような姿は見られなくなった。だが、あれの本当の狙いは感染対策などではないと私は考える。この前、缶を持って警固公園に行ったら策に阻まれた。そこで、仕方ないと考えて、今泉公園に行ったら飲み放題、ヤり放題、キメ放題のパーティー会場(主観、比喩表現)だった。天神中央公園はどこかの帝愛主催によるチンチロリンの大会か、AVの撮影現場(以上、どちらも比喩表現)であった。  

 それでは、警固公園ひとつを封鎖したって意味はあるまい。そして、それでもまだ警固に集まる連中がいる。それは何故か、私が真説(比喩表現)を唱えたいと思う。

「警固公園は死滅回游の結界(コロニー)であり、そこに集う酔っ払いやナンパ野郎たちは参加する泳者(プレイヤー)なのだ」

 一見突飛な陰謀論に見えるかもしれないが、ちょっと待ってみてほしい。私はただナンタラカンタラ大学のウンチャラ助教授(比喩表現)の説に従っているだけだ。そう、You○ubeとヤフ○メと食べ○グで見たから間違いあるまいよ! さて、死滅回游の泳者たちは術式を持っているはずなのである。よく考えてみてほしい、警固公園に集う者共のことを。彼らは、口からビーム(比喩表現、吐瀉物あるいは紫煙)を出したり、謎のステップ(比喩表現、千鳥足)を踏んだり、分身能力(比喩表現、似たような服装の似たような連中が群れてるだけ)を持っているではないか。だからこそ、彼らは術師であり泳者だ、警固公園は死滅回游の結界なのだ。証明終了! さあ、今年のハロウィンは私も泳者として参加しようか、術式は恨み言を連ねるだとか皮肉を言い続けるとかでもいいだろう。そして、泳者として参加して反省文を書き続けよう。

 さて、またまた雑文を連ねてきて、当初の反省文はどこかへと行ってしまいそうになった。だからこそ、最後に真面目な反省の弁を述べたい。

 今回もまた、他人様に見せられるかよくわからない文章を連ねたが、これが私の「反省文」である。編集諸氏におかれましてはこの哀れなる独身である俗物の反省の意をくんでいただけたら幸いである。今回は真面目に小説を書く、なんてことも考えたものの、自己満足みたいな比喩や仕掛けを用意した小説もどきなんぞ自慰行為に過ぎないと思ったのだ。どうせ自己満足なら、開き直って、エッセイやら評論やらなんて肩書きも捨てて「雑文」を記すことにしたいと思っているのだ。彼の安吾先生も言う通り、自己の苦悩だなんだ、社会不安がなんだってのを、さも「深刻そうに」描くことっていうのは誤魔化しだろう。自己満足なら自己満足と言えばいい、そうでないならそうでないで構わない。この場合の、「そうでない」というのは、読み手を意識した戯作(フィクション)であるということだ。「ぼくのかんがえたさいきょうのものがたり」なら、公園で紙芝居でもしてくればいいのだ。それこそ警固公園でやれば変な連中共でも群がってくるだろう。だからここに再度宣言すると、この「反省文」(比喩表現、雑文のこと)は一切合切、俺の自己満足の産物である。

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