第216話 日鞠ちゃんと、プレゼント選び‼︎
「う〜ん……。どれがいいのかな〜。」
天井にシャンデリア、床には赤い絨毯。高級感あふれるお店で俺は、そんな声を出す。普段俺たちが使っているショッピングモールの一角、高級そうなアクセサリーショップに俺は来ていた。
「……。ゆうき先輩、なんで私も連れてこられてるんですか?」
日鞠ちゃんと一緒に。
「『ちょっと夕食の材料の買い物に付き合ってくれるかな?』って言われてきたはずなんですけど……。」
たしかに、たしかに俺はそう言った。言ったよ?はい、言いました。
「でもそうでも言わないと日鞠ちゃんついてきてくれないでしょ?葵のために指輪選ぶから、どういうのがいいのか教えてくれ。って言っても、日鞠ちゃん、ついてきてくれないよね⁉︎」
「ま、まあその可能性は否定できませんけど。……でも先輩、私なんかに聞かないで、先輩が選んだ方がいいと思いますよ?だって、プレゼントっていうのは、ものに価値があるのではなくて、気持ちに価値があるんですから。……そういえば、なんで指輪なんですか?」
なぜ指輪か。そう思った人は、日鞠ちゃんの他にもいるのではないのだろうか?俺が指輪を選んだ理由、それは……
「葵に、もう一度自分の気持ちをきちんと伝えようと思ってな。」
そう、葵に自分の気持ちをもう一度、自分の口から伝えるためだ。
「最近の俺ってさ、葵より、日鞠ちゃんとか渚ちゃんと、一緒にいる機会が多かったし。」
別に、2人のことを責めたいわけではない。むしろ一緒にいて楽しかったので、感謝を言いたいくらいだ。でも、俺は葵と付き合っているわけで、本当は、本来ならば葵と、たくさんの時間を過ごさなければならなかった。でも、今の俺にはそれができていない。だから、だから俺は、葵に、迷惑をたくさんかけてしまった葵に、もう一度気持ちを伝えようと思ったのだ。
「……。そういうことだったんですね。それなら、それなら私も手伝わせていただきます。」
「ありがとう。」
この時、この時の俺たちは、気づいていなかった。柱の影から、とある人物に見つめられていたことに。
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