第195話 四人で、文化祭準備 ②

「はぁ~、ぐぁ~……。」


作業開始から3時間が経つ頃、突然大輝はそんな声を上げた。

……うん。さすがにこの作業を4時間ぶっ通しでやるのはキツイ。

最初のころは、4人で楽しく話しながら楽しく作ることができていたのだが、4時間も続けていると、さすがに精神的に色々来るわけで……。


「よし、ちょっと休憩にするか。」


大輝と俺だけでなく、葵や優香さんも、きつそうな顔をしていたので、俺はそう言った。……一応、実行委員だからね。さすがに、これくらいはやらないと。


「やった~、休憩だ~‼」


と、葵さんは、クラスメイトが一生懸命働いていることなんか気にも留めず、大声でそんなことを言った。……その結果、なぜか俺がにらまれた。

……いや、これはさすがに仕方ないでしょ⁉3時間ずっと、椅子に座りながら紙を折り続けるって、かなりきついからね⁉ずっと、ずっと紙を折り続けるんだよ⁉同じ色のものを、同じように、何の会話もなしに。……それに、ちょっとくらい休んだっていいじゃん⁉にらむんだったら、教室の隅でさぼっているあの男子たちのことをにらんでよ⁉俺たち一応、さっきまでちゃんと仕事してたんだからね⁉あいつらみたいに、ずっとスマホいじってさぼってたわけじゃないんだからね⁉

そう言ってやりたいが、クラスメイトの大半を敵に回すのは怖いので、心の中で言うだけにしておいた。……ただ、そんな俺の心の声が、優香さんや葵には聞こえてしまっていたようで、


「そういうところがゆうくんなんだよね~。」


「そうそう、だからゆうきくんは、ゆうきくんなんだよね~。」


と言われた。

……ねえ、だからそれ、どういう意味なの⁉そろそろ教えてほしいんですけど⁉

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