第158話 日鞠ちゃんへのプレゼントは……
「先輩。この袋、開けてもいいですか?」
日鞠ちゃんと20分ほど見つめあっていると、突然日鞠ちゃんがそんなことを言う。
……『二人で見つめあっている。』こういうと仲のいい友達同士だとか仲のいいカップルだとか、そういう悪くない印象を与えるが、俺たちにとってのこの時間は、全くもっていい時間ではない。……普通に嫌な時間だ。聞こえをよくするためにああいったものの、昨日の葵のせいでできた沈黙の時間と、何ら変わらない辛く苦しい時間だった。……まあ、そこまで苦しんではいないけど。
「うん。いいよ。」
日鞠ちゃんへのプレゼントに込めた想いを、本人に直接伝えたかった俺は、そう答えた。……花言葉に込めた想いなんて、気づいてくれる人の方が少なさそうだし。それに、花言葉について詳しくても、俺みたいに花の名前がわからないなんて人もいるだろうしね。
俺にプレゼントを見る許可をもらった日鞠ちゃんは、丁寧に包装を解いていく。
『ビリビリ、ビリビリ』
と、音を立てながら中身を取り出す葵とは違い、器用に手を動かし、包装を解いていく日鞠ちゃんの動きはとても美しかった。
「うわ~‼すっごくきれい‼」
包装紙を丁寧にたたんだ後、ゆっくりと箱を開けた日鞠ちゃんは、そんな声を出した。
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