第153話 ……うん。どういう状況⁉

「ゆうく〜ん。」


渚ちゃんの様子を見ながら、椅子に座って休んでいた俺。そんな俺はいつの間にか寝てしまっていたようで……なぜか渚ちゃんの隣で寝ている。渚ちゃんに抱き着かれながら……。うん。どうやったらこうなるの⁉

いや、まだ百歩譲って、ベッドの上に頭をのっけて寝ているとかなら理解ができる。……でも、さすがに、ベッドの上に寝っ転がって、渚ちゃんに抱き着かれているこの状況は、万歩譲っても……ううん、億歩譲っても理解ができない状況なんですけど⁉

心の中でそう叫んでいると、


「渚~大丈夫~?……それと、ゆうくん。何か私に手伝えることってある~?」


そんなことを言いながら、葵が家に入ってきた。

……あれ?俺カギ閉めなかったっけ?

と、そんなことを考えている暇はない。だってこの、渚ちゃんに抱き着かれているというこの状況を葵に見られたら……怒られるどころじゃすまないだろう。うん。確実に。下手したら、振られるどころじゃすまないかも……。

一生懸命、渚ちゃんから逃げようとする俺。しかし、渚ちゃんの力はとっても強くて……俺が逃げるより前に、


「失礼しま~す。」


そう言って葵が入ってきてしまった。


「……。」


「……。」


葵と目が合ってから、お互いに無言の時間が続く。

どちらがこの沈黙を破るのか。

全世界73億人の人類が、この後の展開を見守る。

葵が先に、この沈黙を破るのか。それとも、祐希が先か。

何億人の人がそう予想をしただろう。……しかし、この沈黙を

破ったのは⁉


「う~ん……おはよ~、ゆ~くん。」


まさかの渚さんだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る