第148話 葵と、渚ちゃんと、一緒にお料理‼

「ゆうくん、今日は何を作るの?」


今まで話せなかったからなのか、葵は俺の腕に抱き着き頬を腕にすりすりしながらそんなことを聞いてくる。その姿は、まるで人間に甘える子犬のようで……。すっごく、すっごくかわいい。


「……今日は、シチューを作ろうと思ってるよ。」


カレーと同じく、作るのが簡単で何日も持つ料理代表のシチュー。今から俺たちはそれを作ろうとしているわけなのだが……。


「葵、そのままだとゆうくんが料理できないよ。……腕、離してあげなよ。」


と、右腕に抱き着く渚ちゃんは、葵に向かってそういう。……あの、渚ちゃんにも離れていただきたいんですけど。

昨日は、楽しそうに会話をしていた二人だが、昨日の夜から今日の午後にかけて、何かがあったようで、俺の体を挟んで睨み合っている。その姿は、同じ獲物を狙っている肉食動物同士がお互いのことをけん制しあっているような姿で……。肉食胴部鬱に挟まれた俺は、すっごく、すっごく怖い。可愛くて、普段は笑顔でいる二人が怖い顔で睨み合っているわけだから、余計に怖くて……。


「よし、そろそろ料理しないと夜遅くなっちゃうから、早く作り始めようよ。……ほら、葵も渚ちゃんも、あとで好きなだけ腕に抱き着いてもいいから。……だから今は、一緒に料理しよ?」


と、午後5時なのに、『夜遅く』などという、意味不明なことを言う、俺であった。

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