第149話 アレ、この光景って……

「ねえねえゆうくん。私って、何をやればいいの?」


手慣れた様子で玉ねぎをみじん切りにする葵の横で、ボーっと突っ立っている渚ちゃんがそんなことを聞いてきた。ちなみに俺は、ジャガイモの皮をむいています。はい。葵に玉ねぎを任せた理由は……はい。あの目に染みる感じが嫌だったからです。はい。


「う~ん。渚ちゃんには、ニンジンをいちょう切りにしてもらおうかな。」


以前葵に言ったようなことを、同じ幼馴染である渚ちゃんにも言った。別に狙ったわけでも何でもないが、渚ちゃんにも、葵と初めて二人っきりで料理をした時と同じお願いをした。


「……ゆうくん。いちょう切りって何?私、大喜利くらいしか知らないんだけれど。」


俺が同じようなことを言ったのならば、相手も同じようなことを言ってくるというところまでがお決まりの流れのようで、渚ちゃんも、以前葵が聞いたようなことを聞いてきた。……渚ちゃんも、まさか料理ができないの?


「えっと……。それじゃあ今から、いちょう切りをやってみるから、しっかり見てて。」


過去に葵に見せたように、俺は渚ちゃんにも、いちょう切りのやり方を見せるのだった。

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