第146話 避けられた、最悪の状況。

「ゆうく〜ん。」


そう甘い声で言いながら、俺の膝の上に乗る渚ちゃん。


「……祐希お前、裏切りやがって‼︎」


そんなことを言いながら、俺のことを涙目で睨んでくる大輝。


「へ〜、これは面白くなってきたじゃん。またまたライバル登場なんて。」


遠くから、俺と渚ちゃんの様子を見つめてそういう優香さん。

一方、葵はというと……


『ぐぬぬ〜。』

と、そんな声が聞こえてくるような顔をしながら、俺たちのことを見ている。あんなことを屋上では言っていたので、何か仕掛けてくるのかと思ったのだが、どうやらそういうわけではないようだ。

学校で、俺に対して積極的にくっついてくるのは、渚ちゃんと優香さん。優香さんも、渚ちゃんがくっついている時は、遠くから見守っているだけなので、クラス内で、俺をめぐった喧嘩が繰り広げられることはなさそうだ。

……期待してたわけじゃないからね?

周りからのナイフのように鋭い視線はかなり痛いが、最悪の状況はどうやら避けることができたようだ。

そう思い、ホッとするおれであった。

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