第144話 ご立腹の葵さん。①
昼休み、俺と渚ちゃんは、葵に屋上に呼び出されていた。
「なんの話なんだろうね。葵、『大切な話』って言ってたけど。」
……う〜ん。それはきっと、あなたの行動が原因だと思うんですけど。
「それに葵、ちょっと怒ってるぽかったし。……ねえゆうくん、私、何か悪いことした?」
そう言ってくる渚ちゃん。そんな渚ちゃんは、今、俺の手を握っているわけで……。これ、このまま屋上に行ったら、俺は殺されるんだろうな。
頭ではわかっていても、渚ちゃんに、『手を握るの、やめてもらっても良いかな?』なんてこと、俺に言えるはずもなく……。気づいたら、屋上の扉の前に立っていた。この先に、怒った葵があるんだよな。そんなことを考え、ドアを開けずにいると、後ろから、
コンコンコンコン
と、誰かの足音が聞こえてきた。その足音は、どんどん、どんどん大きくなっていき、
「ゆうくん、渚、遅れてごめん。」
そんな声と共に、俺と渚ちゃんの元へとやってきたのだった。
「……。ねえゆうくん。なんで渚と手を繋いでいるのかな?」
先ほどまで、渚ちゃんが手を掴んでいるだけだったのに、いつのまにか、俺と渚ちゃんは、お互いの手を握り合い、お互いの手の体温を、感じ合っていた。
……あれ?なんでこんなことになってんの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます