第93話 膝の上に座られると……。

「……葵さん、なんでそこに、座ってるんですか?」


俺の膝の上に急に座ってきた葵に、俺はそう聞いた。

……好きな人に、くっついてきてもらえるのは、嬉しいけど、

勉強してるときは、さすがにやりずらいといいますか……。


「私はゆうくんの幼馴染なんだよ?……なんで、ゆうくんの膝の

上に座っちゃダメなの?」


……ん?なにその、『幼馴染なら、何しても許される』みたいな理論。

多分この、広い世界で付き合ってもないのにこんなにくっついてる

幼馴染って、俺達だけだからね⁉……それに、親に勝手に結婚させられた

幼馴染も、今の時代には、俺たちくらいしかいないだろうし。

そう考えると、俺達って普通とはかけ離れた幼馴染ライフを送っているんだな……。


「葵、中学生の前で何やってるの⁉そんなことして、日鞠ちゃんに変な影響を与えちゃったらどうするの⁉」


「あ、あの、優香先輩、大丈夫です。」


怒った優香さんに、日鞠ちゃんの声は届かない。


「それにゆうきくん‼ゆうきくんが『でへ~』っていう顔してるから、葵もやめないんでしょ‼」


『でへ~』っとした顔ってどんな顔なんだろう。

そんなことを思いつつも、俺と葵は、


「ごめんなさい。」


と謝った。

日鞠ちゃんに悪い影響を与えるのは悪いしね。……あれ?高校生の男と、付き合ってもない高校生の男と一緒に泊まるのも、あまりいい影響を、与えることにはならないのでは?それにもし、前みたいなことになったら……。

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