第73話 突撃(された)‼俺たちの晩御飯‼

ピンポーン

夕食を作っていると、突然、インターホンが鳴った。

葵は、ソファーで寝ているため、俺はいったん、火を止めて、玄関に向かった。

現在の時刻は9時20分。

こんな時間に誰だろう。そんなことを思いながら、ドアを開けた。

するとそこには、ラッパスイセンの花があしらわれた髪飾りをつけ、背筋をピンと伸ばしている、黒髪ロングの美少女がいた。


「先輩。お久しぶりです。兄に、ゆうき先輩の家で、ご飯を食べてこいと、言われたのでここに来ました。」


……兄。『兄』という言葉を聞いた時点で、誰の妹か、ほとんどの人はわかるだろう。だって俺に、男の友達は、高校に一人しかいないのだから。


「えっと~、今、その大輝はどこにいるのかな?」


こんな夜更けに、妹を一人で歩かせるなんてこと、シスコンの大輝がするわけないだろう。『小学生以外、恋愛対象外だ‼』とか、意味の分からないことを言っている

大輝でも、妹のことはどうやらかわいいようで……。


「あ、兄なら今、あそこの電柱の裏に隠れています。なぜ隠れているのかは、わかりませんが。」


ふ~ん。隠れているんだ~。……自分も来ているなら、『食べてきて』は、おかしいのでは?そう言いたくなった俺だが、話をややこしくするだけなのでやめておいた。

……それに、あの言葉は、大輝が言ったわけなんだし。


「今ちょっと、幼馴染が来てるけど、気にしないでいいから、先に入ってて。」


俺は大輝の妹、日鞠ちゃんに、そういうと、電柱の陰に隠れている、大輝のもとへ向かった。

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