第8話 あなた、本当に葵さんですか?

俺と大輝が、そんなくだらないやりとりをしていると、1人の美少女が、俺の机の前にやってきた。

黒く、長い髪をアカシアの花のついたゴムで結い、水のように透き通った、綺麗な青色の瞳を輝かせているその女の子の名前は、神崎葵。俺の幼馴染にして、俺の未来のお嫁さん(仮)だ。

見るもの全てを魅了してしまうほどの美貌を持った

葵は、教室の隅で、うるさく騒いでる俺たちの前に来ると、こう言った。


「中島くん。あなたのその気持ち悪い声を聞いていると、耳が腐ってしまいます。二度とその、汚い口を開かないでもらえます?」

と。


……ん?

アナタ、ホントウニ、アオイサンデスカ?

あの、

『ゆうくんと手を繋いで、学校に登校するの〜』

とかなんとか言ってた葵さんですか?

実は、葵の偽物とかじゃないんですか?いや、今日の朝、俺の家にいた葵が偽物だという可能性も……。

う〜ん……もうわからん。

そんなことを考えていると、


「なあ祐希。お前って、神崎さんと、幼馴染なんだよな?……めっちゃ嫌われてんじゃん。神崎さんから。……ていうかお前、昨日なんかやらかしたの?神崎さん。お前のこと『中島くん』って読んでたぞ?前までは、『祐希』って、読んでたのに。」


たしかに。なんかあったけど、俺のせいじゃなくない⁉︎あれは勝手に、お母さん達が決めちゃってただけで、俺は何も関与してないんだけど。

せっかく好きな人と結婚できたと思ったら、いきなり、離婚の危機……なのかな?

……多分そうだよね。大輝の方がうるさかったのに、俺にだけ注意してくるってことは、それだけ俺が嫌いってわけで。

はぁ。下校の時、謝っておくか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る